やりました。過料決定取り消し。全面勝利です。

      やりました。過料決定取り消し。全面勝利です!

 

 

 2020年3月11日に過料決定に対する異議申立を行っていましたが、8月19日付けで「過料処分の取り消し。処罰しない。本件手続費用は国庫の負担とする、旨の決定」を裁判所からいただきました。全面勝訴です。しかもそこには「当裁判所は、申立人の陳述及び検察官の意見を聴いた上、つぎのとおり決定する。」として、検察行政=法務行政の意見も聴いているとしています。

  少し長いですが、「理由」をそのまま転記します。

 

「1.原決定は、一般社団法人白﨑労務安全メンタル管理センター(以下「本件法人」という。)の代表理事であった申立人が、同法人の役員退任後、その選任を令和元年12月10日までに怠ったことを理由として、令和2年2月26日、申立人を過料3万円に処したものであるところ、申立人はこれを不服として本件異議を申し立てた。

2.一件記録及び審尋の全趣旨によれば、申立人は、平成24年4月12日の本件法人設立時に本件法人の理事及び代表理事に就任したが、その後、理事の任期満了前に、社員総会において同人について理事再任の手続が行われたことが認められ、本件の役員選任義務懈怠の事実は認められない。したがって、本件について、申立人を不処罰とするのが相当である。

3.よって、原決定を取り消して申立人を処罰しないとするのが相当であるから、非訴事件手続法120条、122条により、主文のとおり決定する。」

 

  なんともうれしい決定です。あらためてイェーリングの「権利のための闘争」を思い出します。同書では、 「権利が侵害されたとき、自分の権利を主張するのもしないのも自由だ、とみんなが思っているようだけど、それは違う。 自分の権利を主張し、権利を守っていくの我々の義務だ。

人が権利のために闘わなければ、法は存在価値を失う。働かない者にはパンが与えられないのと同様に、権利の侵害に対して闘わない者には、法は権利を保障しない。権利は主張してはじめて権利となる。」というような内容でしたね。

 

 実は、今回の異議申立に当たって、弁護士も含め、いろいろな人に相談しました。しかしそのほとんどの人が、いくら社員総会等で正式に再任してもその旨の登記(重任登記)をしない限り選任は効力がない。役員の任期は法律で2年と期間がありそれを超えてはならない。重任登記は長い間の慣習でありそれに反することは法務局は許さないだろう。だから法務局や検察庁を相手にケンカをしても無駄だ、やめておけ、というものが圧倒的でした。

 

 本件の処分の取り消しまでまる5ヶ月かかりました。法務局だけでなく多くの法人や司法書士等にかかわる重大事件だからこそ、それこそ法務省本省も巻き込んでの苦渋の決定だったらこそ長期間かかったものと思われます。

 

  今回の、法務行政が行った「見なし休眠法人」でないと届出した者に対する、過料処分は休眠法人整理作業が平成26年から継続的に行われてきたので7年間行われています。

 その間、多数の見なし休眠法人とされた企業はおびただしい数です。ちなみに法務局のホームページによれば、解散したものとみなされる休眠法人の数は表のとおりです。そして本件のとおり、「まだ休眠していない」旨の届出をした法人は、この数の数倍はあるかと思います。そして「重任登記」をしないと、重任登記をしていないということではなく(その旨の条文がないため)、過料処分の対象条文となってもいない「見なし休眠法人」の規定を使って、過料処分で脅かし2年以内毎の重任登記の実施を促しているのです。

 

 法務省は今すぐ、ホームページにある、「まだ事業を廃止していない休眠会社又は休眠一般法人は,公告から2か月以内に役員変更等の登記をしない場合には,「まだ事業を廃止していない」旨の届出をする必要があります。(中略)なお,「まだ事業を廃止していない」旨の届出をした場合であっても,必要な登記申請を行わない限り,翌年も「休眠会社・休眠一般法人の整理作業」の対象となりますので御注意ください。」の文言を削除するとともに、今回のこの決定を法務行政は真摯に受け止め、登記の有効期間を定めるとか、みなし休眠法人に対して、事業を廃止していない旨の通知をした場合のその後の処理方法(手続)を明確にするとか、株主総会あるいは社員総会で民主的に再任された場合は重任登記は必要ないとか等の法令等の改正を行うとともに、すでに過料を納めてしまった法人(の代表者)に対して、なんらかの救済(返済)措置を行うべきだと思います。金銭的な救済が仮に難しいとしても過料処分についての謝罪があってしかるべきだと私は思います。

 

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 私が今回異議申立てをした本当の理由は、正常に社員総会や株主総会が行われ役員の再任が行われた場合には、法的に「重任登記」は必要ではないということでした。今回の取り消し決定の理由にはその旨については明確に述べられていませんが、私が異議申立で主張したのはまさにそのことでした。

 これまでの経緯については、2020.3.8「3万円支払えという突然の過料決定にビックリ」、2020.4.18「重任登記に反論する」という白﨑淳一郎のblogに記載しています。興味のある方是非ご覧下さい。

 

 なお、一連の異議申立について、さらに興味がある方は、関係資料を差し上げますので、メールでご連絡ください。メール添付資料として送ります。但し、かなりのボリュームです。法曹関係者か法曹を目指す学生には参考になるものと思います。

 

Eメール jshiro52@js5.so-net.ne.jp です。

 

ひそかにご声援して頂いた方には、心から御礼申し上げます。

 

コロナに十分気を付けてください。

 

 2020年8月20日   白﨑淳一郎のblog