SDGsで樽生ビールはがまんします

本当は飲み屋で樽生ビールが飲みたいけれど

 

 本日(2020.8.11)は今年最高の猛暑だそうで、越谷も38℃を超えそうです。コロナ禍で出歩くこともできず、飲み屋での樽生ビールが恋しいです。そしたら、キリンビールが「Home Tap」という樽生ではなくペットボトル生を発売し、自宅で本格的な生ビールが飲めるとのこと。ビール好きにはたまらなく嬉しいニュースだと思いました。

 実は、昨日、孫も自宅軟禁状態なので、誕生日のプレゼントにかき氷機が欲しいというので電気店を見て回ったのですが、売り切れが続出してい手に入れるのに苦労しました。それはとは異なりどの店にもホームビールサーバーが販売されていて、こちらの方にも手を出しそうになりました。

 

 さて、キリンビールのHome Tapも電気店の簡易自宅ビールサーバーも、二酸化炭素炭酸ガス)カートリッジやミニボンベを使用しているのをご承知でしょうか。飲食店の生ビールの場合はカートリッジではなく二酸化炭素ボンベで大きさはいろいろありますが2.5㎏(3.35リットル)~30㎏(40リットル)ぐらいのものを使用しているそうです。リットルと書いてあるとおり液体の二酸化炭素です。これらを減圧調整弁(バルブ)で減圧し生樽や生ペットボトルに引き込み、二酸化炭素の気化する圧力で生ビールをサーバーに押しだし最後にタップでクリーミーな泡を立てると生ビールができあがります。サーバーには電気的にビールを冷やす装置がついています(古いタイプは氷を入れて冷やします。)

 要するに、瓶ビールや缶ビールの泡はビール本体から麦芽等が発酵した際に発生する二酸化炭素によるものだけですが、サーバーを利用した生ビールはそれ以外に二酸化炭素をビールを容器から取り出すためにだけでなく、クリーミーな泡を立てるためにも使用しているのです。

 

 そして問題なのは、使用後の樽生の容器内あるいはペットボトル内には圧力のかかった二酸化炭素が残っています。 例えばキリンのホームトップの場合1リットルのペットボトルですがペットボトルの容器の温度が室温の28℃程度でしたら適正圧力は2.8~3.3気圧程度でしょう。つまり、ペットボトルの中には少なくとも3.8~4.3リットルの二酸化炭素が残っています。20リットルの樽容器でしたら20×4.3=80.6リットル近くの二酸化炭素が残っているわけです。

 問題はこの空容器です。ペットボトルは家庭の他のペットボトルと同じように処理されます。お店の樽容器はビールの製造メーカーに回収されますが、この空樽は洗浄されて再び生ビールを充塡されますが、樽を洗浄する際に約80リットルの二酸化炭素は現段階では回収されずそのまま空気中に放散されています。

 

 これは地球温暖化防止対策上見逃せない事態だと思います。

 

 で生ビール好きの私は、考えました。二酸化炭素の替わりに窒素を使用できないかと。各ビール会社に問い合わせをしました。「確かに窒素は不活性ガスで二酸化炭素に比べ水やアルコールには溶けにくい。しかし、タップで泡立てるときビールがまずくなる。味が落ちる。これが致命傷である。」ということと、「窒素ガスを液体にする場合-210℃なのに比べ二酸化炭素は56.6℃と液化するのにエネルギーを要する。また容器も圧力が高いため二酸化炭素に比べ堅牢な構造にしなくてはならない。そのため窒素混合ガスを使用しているお店でも液体窒素ではなく気体の窒素ガスボンベを使用している。」等々の返事がなされ、現状は窒素ガス使用には変更できないというのがキリン、サントリー、アサヒ、サッポロ各社の答えでした。

 

 そこで私は考え提案します。

 

 まず樽生の場合、容器をシリンダー式にします。簡単に言えば注射器の大きなものをイメージしてください。薬剤にあたるのが生ビールです。その外側に窒素ガスを注入し生ビールを押し出します。実際は窒素ガスでなくても良いのです。タップに連動して機械的に樽内のビールを押し出すことができれば良いのです。問題はサーバーです。特に泡を立てるタップ部分に二酸化炭素がどうしても必要ならその部分にだけ二酸化炭素を供給する構造にすれば良いのです。それだけで二酸化炭素の使用量はかなり抑えられます。キリンのホームタップの場合は二酸化炭素による押し出し方式にするのではなく、重力を使った自然抽出にし泡立てはサントリーが缶ビール用に開発した特殊泡立てタップ方式にすれば、二酸化炭素を使用しなくてもよいものと思われます。但し、ビールを注ぐときに必ず空気が入り込みます。ですので、吸入される空気をビールの中に通さず管を通してビールの上部にクレラップのようなシートでシールドすればその空間にだけ空気が貯まりますのでビールの酸化は防げると思われます。

容器代が単なるペットボトルでなくなるので費用は嵩みますが、アルミ容器等で制作し使用後回収、リサイクルできるようにすることが、海洋マイクロプラスチック問題にも対応できるものと思います。

 

 日経新聞の報道では1~6月のビール計飲料販売は、飲食業の休業で前年比1割減(2020.7.13)、ビール大手4社のビール系飲料販売、5月は13%減(2020.6.10)と新型コロナの影響を報道しています。ビール会社にも飲食店様にもまことに気の毒でしたが、おかげでおそらく大量の二酸化炭素の放出が免れたのではないでしょうか。全世界でのビール総消費量は2017年に比べ18年は約154万キロリットル増の、約1億8,879万キロリットルだったそうです。すべてが樽ではないとしても、2気圧以上に加圧された3億キロリットル以上の二酸化炭素が空気中に放出されています。今年はコロナで全世界で飲食の自粛です。地球にとって幸いだったのかもしれません。

 SDGsの観点から、これからのビール業界の発展のため二酸化炭素の使用を押さえ、酎ハイなどの炭酸飲料についても、二酸化炭素の代替措置として窒素ガスを発泡させ、どう安全に、おいしく飲用できるか、研究の余地は十分あると思います。

 

 ということで、今日は本当に暑いのでビールではなくホッピー+焼酎とプランターで育てた枝豆で暑気払いをしたいと思います。なおホッピーは炭酸飲料ですが人工の炭酸ではなくホップを発酵させた自然なものなので、地球温暖化には理論的には寄与しないと考えています。

 

2020.8.11 白﨑淳一郎のBlog