法務省、重任登記の一部解釈変更の回答を行う

法務省、「役員の任期満了前の任期の延長には変更登記が必要ない」と重任登記の一部を否定する回答を行う

 

 

2020年10月18日に記1のとおりの11項目の質問を行いました。主な質問内容は重任登記に関係することです。重任登記とは法務省ホームページのQ&Aでは「取締役が任期満了により退任し、時間的間隔を置かずに取締役に再任されたような場合(登記実務上「重任」といいます。)にも、変更の登記が必要となります(会社法第915条第1項)。この役員変更登記については、本店所在地において2週間以内に行わなければ、登記懈怠となり、過料に処せられる可能性があります(会社法第976条第1号)。」との説明・記載があります。この考え方は一般社団法人法にも適用されるとして、私が過料請求を受けたことはすでに既報(2020.3.8)のとおりです。

 問題は社員総会で任期の延長ができるかということと任期満了が何時なのか、を明らかにすることでした。任期満了前に株主総会や社員総会で役員の任期の延長を決議すれば、重任登記が必要とならなくなるからです。

私の質問に対し法務省は2020年11月5日に記2のとおり5項目で回答をしました。

回答内容が不十分で曖昧なので、2020年11月11日に記3として再度5項目の再質問を今回はFAXで行いました。

ただし、今回(2020.11.5)の法務省の回答に、「役員の任期の満了前の任期の延長には変更登記が必要ない」と回答があったことは非常に重要だと考えています。

 今回も長い文書であり大変申し訳ありません。しかしながら、法務省の重任登記の不当性を明らかにするには、裁判所の私への勝利決定があったこの時期しかない、コロナ禍で苦しんでいる中小零細企業を少しでも応援するということなので、お許し下さい。

 

 

記1 法務省に対する公開質問(2020.1018)

 

1.一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「法律」という。)第35条第1項では社員総会は一般社団法人(以下「法人」という。)に関する一切の事項について決議をすることができると規定しています。また第63条では社員総会で役員を選任する、とも規定しています。これらの規定からすると、一切の事項に、役員や理事の2年以内なら新たな任期や任期の延長を定めることも含めても違法ではありませんね。ただしこの法人には第63条第2項の理事会が設置されていないものとします。違法ならその理由と根拠条文を示してください。

 

2.法律第66条の見出しは(理事の任期)となっていますが、当該条文では「理事の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時までとする。」と規定しています。ここでいう「定時社員総会の終結の時」とは一般的には、社員総会の議長が「これで社員総会を閉会します。」と宣言したときと判断されます。

その場合、定時社員総会終結前に理事の任期を再任ではなく2年以内の定時社員総会終結の時までと延長した場合は、その時点まで任期は延長できませんか。延長できないとしたらその根拠条文、理由を示してください。

 理解しやすくするため具体的例を示します。ある一般社団法人の定款は毎年5月に定時社員総会を開催すると定めています。その設立社員総会で役員の任期を選任のときより2年以内に開催する定時社員総会終結時までとすると定めていたのですが、定款の定めにより任期途中の翌年の1年目の定時社員総会で役員の任期を、本日から2年以内の定時社員総会終結の時まで延長する、と定めても違法ではありませんね。違法とするならその根拠と理由を述べてください。

 

3.法律第66条では理事の任期は選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時までとする、と規定しています。一般に社員総会終結後に改めて社員総会を開催して理事の再任(重任)という裁決をするということは現実としてあり得ません。となると定時社員総会終結前、つまり定時社員総会開催中は理事の任期はまだ満了していません。任期が満了していない理事に対して任期の延長を決議することは仮に再任と称しても、法的には単なる任期の延長であって任期満了による退任後の再任とは言わないはずです。

しかし定時社員総会終了後、あるいは定時社員総会を開催しないまま2年以上経過した場合は、任期が満了したことになるので退任したものとして取り扱われ、その場合は再任となり変更登記の対象になるかも知れません。

 ちなみに広辞苑では再任は「再び前の官職に任ぜられること。」、延長は「長く伸びること。長く伸ばすこと。」という説明です。延長には任期満了による退任という法的行為がないと考えます。

 定時社員総会での任期の延長を認めますか。認めないとしたらその根拠条文と理由を述べてください。

 

4.商法では「(任期)第256条 取締役ノ任期ハ2年ヲ超ユルコトヲ得ズ。」と規定され、同第2項では定款に規定することによって、任期中の最終の決算期に関する定時株主総会終結の時まで任期を伸長することができる、とされていました。つまり原則は法定2年で例外として定款で定時株主総会終結時まで伸長できるとされていました。

しかし平成17年に会社法が制定されることにより商法第256条は削除され、この原則と例外が逆転して規定されることになりました。

私は改正の理由は、明治時代のお上が法律ですべて決め・管理するという考え方から、企業の自主的・民主的統治(ガバナンス)を認めるという立場に立ったからではないかと思っています。つまり会社法第332条は商法第256条第1項2項と思想的に大きく異なったものになったと思います。平成18年に「法律」が制定されたときも同じ思想で法律第66条が策定されたと聞いています。

 言い換えれば従来は法令で任期を2年と定めたのに対して、法律第66条では2年以内に開催される定時社員総会までとなったのです。なぜなら企業の最高議決機関の社員総会のインターバルを法律上定めていないので、あまり長期にわたり社員総会を開催しないことは望ましいことではないので、選任後2年以内に開催することを命じたのだと考えられます。その2年が正当か否かは8でもう一度質問します。

 選任後2年以内に開催される社員総会の終結の前に理事の任期をさらに2年延長すると決議しても商法の精神は変更されていますので、法令違反とはなりませんね。仮に法令違反となるならその理由と根拠序文を示してください。

 

5.法務省ホームページのQ&Aの重任登記について質問します。同回答では「取締役が任期満了により退任し、時間的間隔を置かずに取締役に再任された場合(登記実務上「重任」といいます。)にも、変更の登記が必要となります。」との説明ですが、株主総会や社員総会で終結前はまだ任期は満了していませんね。つまり退任はしていませんね。そこで任期満了前に、役取締役の任期を延長の決議をした場合、任期満了は新たに決議された時点まで延長されることにはならないのですか?ならないとしたらその根拠条文を示してください。また同回答では「任期満了で退任し、時間的間隔を置かずに再任される、というパターンしか想定していませんが、任期満了前に退任せず、単に任期を延長する場合は「再任」とせず「任期延長」というパターンを認めませんか。

 

6.同Q&Aの回答にはさらに「この役員変更登記については、本店所在地において2週間以内に行わなければ、登記懈怠となり、過料に処せられる可能性があります。」と記載しています。まず会社法911条第3項第13号は取締役の氏名の変更です。「法律」では第301条第2項第5号で理事の氏名の変更があったら、2週間以内に変更の登記をするとしています。任期の変更については法律第301条第2項各号には規定がありません。

定時社員総会で退任・再任ではなく任期の延長なら氏名の変更はないので変更登記は必要ありませんね。退任・再任ではないのに登記が必要であるならその理由と根拠条文を示してください。

 

7.2の具体例に関して同様のケースがあり、さいたま地方裁判所越谷支部で2020年8月19日に、「 理事の任期満了前に、社員総会において同人について理事再任の手続が行われたことが認められ、本件の役員選任義務懈怠の事実は認められない。」として過料決定の取り消しが行われています。重任登記をしなくても定時社員総会終結前(任期満了前)に適切に理事の任期を延長すれば、役員選任の懈怠はないとしています。重任登記はあえて必要ないと裁判所は判断しました。この裁判所の判断からしても法務省のQ&Aを見直しませんか。見直さない場合にはその理由を述べて下さい。

 

8.会社法第332条第2項では、公開会社でないでない株式会社は定款で取締役の任期を選任後10年以内の定時株主総会終結時まで伸長することができると定めています。一般社団法人は非公開、非上場の株式会社とはどう違うのでしょうか。なぜ「法律」第66条にも同様の規定を設けなかったのでしょうか。その理由を示すとともに今後の方針、考え方を示してください。

 

9.法律第149条の見なし休眠は5年間です。一方、会社法第472条では12年です。この違いの理由を述べてください。任期や休眠期間で会社法と「法律」が異なる理由、公平性、平等性を無視した取扱いを行った理由を明確に述べてください。また今後の見直しの予定があれば述べて下さい。

 

10.「法律」第66条の理事の任期に係わって、理事の氏名の変更がないのに任期満了とみなす重任登記が何故必要なのでしょうか。その必要性を示してください。仮に商取引の安全のため、というなら何故、法務局が自ら解任した(未選任の状態にある)ものとみなして商取引の安全性を壊す必要があるのでしょうか。そのために法律第75条の役員等に欠員が生じた場合の措置の規定がある、とでもいうのでしょうか。この法律第75条の規定は実際に死亡、退任等で実際に欠員になったときの措置規定で、重任登記をしていないため法的に未選任にさせられた場合は含まないと解されています。

 また休眠しているかも知れないかどうかの確認のため重任登記を行うとでもいうのでしょうか。その場合は第149条の休眠していない旨の届出で確認できればそれでよいのではありませんか。定時社員総会終結前に、つまりまだ理事の任期が残存しているときに再任されたとしても、それは任期の延長のことであり、あえて任期満了で退任、改めて新たに就任=氏名の変更があったとして変更登記を求める必要性が「取引の安全上」どこにあるのでしょうか。無駄なことだと思いませんか。任期が残存中に再任された場合は任期の延長とみなして重任登記は必要ないとすべきではありませんか。できないならその理由と根拠条文を示してください。

 

11.菅内閣行政改革規制緩和を大目標としています。国内法人の99.5%が中小零細企業で、その多くは親族等固定された役員で構成されているという実態の中で、新型コロナ禍で苦しんでいる企業も多いという状況です。一般社団法人の場合2年に1回、2万円プラス消費税と登記手続のための印鑑証明書添付という重任登記を義務付けられています。しかも忙しいこともあり煩雑でもあるので、その多くは司法書士等の代理人に手続料(1万円プラス消費税)を支払って行っています。印鑑の廃止も重要ですが、明治時代以来の無駄な行為、悪慣習である重任登記の廃止についても真剣に検討を求めます。

 

以上ですが、この質問及び法務局からの行われるであろう回答は、私のブログ及びフェイスブックに掲載致しますので念のため申し添えます。なお、さいたま法務局とのこれまでの質問、回答についても掲載されています。参考にして下さい。

 

 

記2 2020.11.5 13:34 法務省回答

 

白崎 淳一郎 様

 

本年10月18日付けのメールを拝見しました。

別紙のとおり回答します。

 

法務省

 

別紙

 

1~4について

御理解のとおり,理事会設置一般社団法人以外の一般社団法人においては,社員総会は,一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「一般社団・財団法人法」といいます。)に規定する事項及び一般社団法人の組織,運営,管理その他一般社団法人に関する一切の事項について決議をすることができることとされています(同法第35条第1項)。

そして,一般社団法人の理事の任期は,選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時までとすることとされていますが(一般社団・財団法人法第66条本文),定款又は社員総会の決議によって,その任期を短縮することを妨げないこととされています(同条ただし書)。他方で,定款の定め又は社員総会の決議をもってしても,その任期を伸長することはできないと解されています。

 

5,6について

会社法第332条第2項では,公開会社でない株式会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)における取締役の任期について,定款によって,選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結の時まで伸長することができると規定されているところ,この規定に基づき,取締役の任期満了前に,取締役の任期を伸長する旨の定款変更の決議を行うことにより,当該取締役の任期は変更後の任期の満了時まで伸長することができると考えられます。このとき,当該取締役に関する変更登記は,変更後の任期の満了後に行うことになりますので,変更前の任期満了時に「任期延長」という登記の必要はないものと考えられます。

 

7について

上記の回答のとおり,一般社団法人の理事の任期については,法律に定める期間を超えて伸長することはできないと解されていますので,当省ホームページのQ&Aを見直す必要があるとは考えておりません。

 

8,9について

一般社団法人の理事の任期について,会社法第332条第2項のような定款による任期の伸長規定が置かれていない理由について,平成17年12月から実施された「公益法人制度改革(新制度の概要)に関する意見の募集」に対するパブリックコメントにおいて,伸長規定を設けることに反対の意見が圧倒的であったことを挙げる文献があります(新公益法人制度研究会『一問一答公益法人関連三法』(商事法務)57頁)。

また,御理解のとおり,一般社団・財団法人法において,休眠一般社団法人とは,一般社団法人であって,当該一般社団法人に関する登記が最後にあった日から5年を経過したものをいうこととされている(同法第149条第1項)のに対し,会社法においては,休眠会社とは,株式会社であって,当該株式会社に関する登記が最後にあった日から12年を経過したものをいうこととされています(同法第472条第1項)。会社法において,期間が12年とされているのは、公開会社でない株式会社(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。)において,定款によって,取締役の任期を選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結の時まで伸長することができることとされていることによるものと考えられます(同法第332条第2項)。

これらの一般社団法人に関する規律等について,現時点において,直ちに見直す必要があるとは考えておりません。

 

10,11について

上記の回答のとおり,一般社団法人の理事の任期については,法律に定める期間を超えて伸長することはできないと解されていますので,理事の選任に関する法人の構成員の意思を示す観点からも,任期満了退任後,同じ者が引き続き就任(再任)した場合であっても,変更の登記をする必要があると考えております(一般社団・財団法人法第303条)。

 

 

記3 2020.11.11 法務省回答に対する再質問

 

FAX 送付状

 2020年10月18日付けの私メールに対して、2020年11月5日に回答メールをいただきました。有り難うございます。

 しかしながら、回答は曖昧で、私の質問にしっかりと答えてくれませんでした。そこで本日改めて再質問させていただきます。丁寧な回答をお願い致します。

 なおこれらは白﨑淳一郎のブログで公開しています。

 

追伸 回答8,9に記載されている「一問一答公益法人関連三法」(商事法務)の57頁について、そのコピーをメール回答に添付していただきたいと思います。厚かましいお願いですが伏してお願い致します。

 

2020.11.5の法務省の回答に対する再質問(2020.11.11)

 

1.回答1~4について

  回答では1~4をひっくるめてまとめて回答していますが、10月18日の質問1~4はそれぞれ違います。真摯に国民の疑問に答えて下さい。

  そこで改めてお伺いします。

① 質問1は、定時社員総会で任期の延長を決議することは、違法かどうかを聞いています。違法ならその理由と根拠条文を示せ、としているのに、なぜ明快に答えないのですか。明快に答えて下さい。

② 回答では一般社団法人及び一般社団法人に関する法律(以下「法律」という。)第35条第1項によれば、「法律に規定する事項及び一般社団法人の組織,運営,管理その他一般社団法人に関する一切の事項について決議をすることができることとされています。」とありますが、その後、後段部分で「定款の定め又は社員総会の決議をもってしても、その任期を伸長することはできないと解されています。」とも回答しています。

  「解されている」、という回答からは、必ずしも法律で伸長できないとは明確に規定されていない、単なる内部だけの取扱い・解釈である、と判断できますがそれで良いですか。

  それとも「伸長することはできないと解される」とする根拠となる法令はありますか。あるいは社員総会の決議でも任期の伸長は決議できない、ということについて、内部通達や内部の解釈例規ではなく学説、論文はありますか。あったら教えて下さい。

  明確に否定、禁止する規定がない限り、原則は任期の延長(伸長)も決議できると判断されますが、反証があるなら、明快に納得いくよう説明して下さい。

  なおその際、会社法第332条第2項が株主総会の決議により定款で任期を延長できると規定しています。定款を制定・変更するのは株主総会や社員総会の権限です。このことも含めてお答え下さい。

③ 前段の回答にある「一切の事項」になぜ任期の伸長が含まれないと解されるのですか。一切というのは広辞苑によれば「残らず。全体。すっかり。ことごとく。」と記載されています。大辞林でも「全部。すべて。残らず。」との説明がなされています。つまり公序良俗に反しない限り、法令で禁止されていない限り、何でも決議できる。決議に例外はないという意味ではないのですか。

  繰り返しますが、どうして社員総会の決議に任期の延長が含まれないのですか。前述したとおり会社法第332条第2項からは、できると規定していますが如何でしょうか。

④ このことに関し、回答5,6では、会社法第332条第2項では「取締役の任期満了前に、取り締まりの任期を伸長する旨の定款変更の決議を行うことにより」と任期の伸長ができる旨述べています。どうして会社法株主総会ができて、法律の社員総会ではできないのですか。

⑤ 10月18日の質問2では、例えば任期2年のところ任期途中の1年目で、改めてさらに2年延長する場合、違法か。違法ならその根拠条文と理由を述べて欲しい、というものでしたが、どうしてこれに明快に答えられないのですか。回答の5,6の会社法との関係も含めて答えて下さい。

⑥ 10月18日の質問3は、社員総会「終結の時」についてどう考えるかということを聞いています。もう少し具体的に言えば、任期の満了は社員総会開催の日なのか、議長が総会終結の宣言をした以降なのか、ということです。

  「終結の時」とは、一般的には条文上は、議長が終結宣言をした後と判断されます。異議があれば明確に反論して下さい。社員総会開催中はまだ任期は満了していませんね。

  一般的には、役員の変更がない場合は、その社員総会終結前に役員の任期の延長もしくは再任が行われます。まさか、社員総会終了後時間的間隔を置かずに同じメンバーで再度社員総会を開催して、改めて役員の選任(再任)を行うことは滅多にあり得ないことです。

  つまり、役員の任期延長や再任を定時社員総会中に行えば、まだ任期が終了(満了)していないうちですので、その時に行ったのなら、Q&Aに記載されている、「任期満了により退任」という状態にはなっていないうちに再任されるということですね。これは任期の延長であり、なんら法律に触れるものではないのではないかと言うことを聞いているのです。

  Q&Aにいう、た「任期満了により退任」というのは、定時社員総会終結後に再任した場合だと考えられますが、経過と日本語をしっかり見て判断していただきたいのです。

⑦.10月18日の質問4では、廃止された商法第256条の任期と会社法や法律の役員の任期の規定の仕方を示し、思想が変わったのではないかと問ました。これについて改めて回答して下さい。

いいかえれば役員の任期は商法時代の「法定2年」から、会社法や法律の「2年以内に終了する定時社員総会の終結時まで」、と法定から定時社員総会までと企業自治、ガバナンスを認める趣旨にかわった、ということでよろしいですね。

思想が変わったのではないかという私の意見について、コメント下さい。

⑧ 10月18日の質問2に記載されている具体例について補足して述べます。

  これは弊社のことでした。弊社は2020年2月26日付けで.さいたま地方裁判所越谷支部から、「上記の者を過料30,000円に処する。」。

理由「上記の者は、上記法人の代表理事に就任していたところ、役員が退任し、法定の員数を欠くに至ったのに、令和元年12月10日までにその選任手続を怠った。」。

適条「法律第149条第1項、203条第1項、非訴事件手続法第120条、第122条」というものでした。

  さっそく「適条が第149条第1項とあるがこの条文は法律342条の各号にある過料に処すべき行為に該当しない。理事は毎年の社員総会で任期延長を行っており欠員もなければ役員選任懈怠もない」との異議申立を行い、さらに審尋も行い、2020年8月19日付けで、

主文「本件につき当裁判所が令和2年2月26日にした過料決定を取り消す。本件は 罰しない。」。という決定がありました。

理由「一件記録及び審尋の全趣旨によれば、申立人は、平成24年4月12日の本件法人設立時に本件法人の理事及び代表理事に就任したが、その後、理事の任期満了前に、社員総会において同人について理事再任の手続が行われたことが認められ、本件の役員選任義務懈怠の事実は認められない。したがって、本件について、申立人を不処罰とするのが相当である。」

  ということで、役員選任後2年以内の定時社員総会終結時の任期を、1年目の定時社員総会で任期の延長をし、翌年以降も同様の手続で任期の延長を繰り返しおこなったことについて、裁判所は役員選任義務懈怠の事実は認められない、と認定したのです。

  この決定を法務省はどう受け取りますか。論評なり感想をお願いします。なお、この審尋には法務省代理人である検察官検事は「然るべく」という意見を述べています。決定に対して検察官は即時抗告をしませんでした。

  社員総会終結時までに役員任期の延長を社員総会で決議すれば役員の任期は最長2年では終了しないことを裁判所が認めたのです。

今後は、この裁判所の決定どおり(社員総会終結前に任期の伸長をすれば役員選任懈怠はない。任期の伸長のため重任とはならず、従って変更登記も必要ない)という行政運営をしますか。しない場合はその理由と根拠を示して下さい。裁判所の決定に沿ったQ&Aを見直して下さい。

 

2.回答5,6について。

① この回答からすると、会社法では株主総会で任期満了前に定款の変更決議を行えば変更後の任期満了まで伸長できる。このことは例えば、もともと10年の任期である役員が、選任後9年目に株主総会で役員の任期を本日からさらに10年間延長すると定款変更すれば、当初の10年以内という制限(上限)を超えて新たに定款で定めた期間(合計19年)まで延長しても差し支えないということですね。

② このことは会社法第332条第2項の「最終のものに関する定時株主総会終結の時まで伸長することを妨げない。」とう文言があるからですか。

言い換えれば、法律第66条には「妨げない」という文言がないので伸長できないとするのですか。

「妨げない」とは、その規定が設けられたことで疑義が生じそうな問題に関して、ある規定や制度が依然としてはたらいていることを明確にする、ことであると一般に説明されています。この場合どういう疑義が生ずるかは分かりませんが、「妨げない」ではなく「伸長することができる」と規定していたとしても、実態は、伸長してもしなくても良いという意味で使用されているので、「妨げない」と規定している意味はそれほどないと考えます。

で質問をまとめます。質問1②③にも関係しますが、社員総会で定款の変更を行えば役員の任期は改めて2年間は伸長できる、と理解して差し支えありませんね。

  しかも回答5,6のとおり、任期の伸長(延長)の場合は登記の必要がない。ということは重任登記の問題も生じない、こう理解して差し支えないですね。

   私は、この回答5,6は非常に重要で、「任期の伸長には変更登記が必要ない」ということを大いに宣伝したいと考えています。

 

3.回答7について

  回答では「法律で定める期間」と記載されていますが商法第256条は廃止されています。「法律」ではなく、あくまでも「2年以内毎に開催される社員総会終結時まで」です。企業ガバナンスを認めているのです。その考え方は会社法第332条第2項も同じです。違いますか。   

ところが地方法務局の実務を行っている人達が、任期は「法律で2年」と大声で主張しています。「法律で2年」という用語の使用は不正確ですので、今後の是正、指導をお願いします。

ところで回答の5,6で会社法では任期は任期途中で伸長できるのに、一般社団法人はそれができないというのなら、その理由と説明を明確にして下さい。法律第66条に会社法第332条2項のような規定がないからだ、という回答なら、なぜ改正しないのか、規制緩和がうたわれている今日、明快に説明して下さい。

 

4.回答8,9について

  回答では平成19年7月10日のパブリックコメント(以下「パブコメ」という。)で伸長規定を設けることについて反対の意見が圧倒的であったという文献があるので、会社法第332条第2項のような規定を設けなかった、としています。

  まずパブリックコメント制度(意見公募手続制度)とは、「国の行政機関は、政策を実施していくうえで、さまざまな政令や省令などを定めます。これら政令や省令等を決めようとする際に、あらかじめその案を公表し、広く国民の皆様から意見、情報を募集する手続が、パブリックコメント制度(意見公募手続)です。」という説明が、国の機関であるe―Gov(電子政府の総合窓口)でなされています。

  重要なのは「政令や省令等を決めようとする際に、あらかじめその案を公表して」とあります。しかし私がインターネットで調べたところ、この平成19年7月10日のパブコメは、既に平成18年法律第148号として制定、成立施行されている一般社団法人及び一般財団法人に関する法律に対して、具体的に第66条の理事の任期を伸長すべきかどうかを聞いていません。公益法人制度改革関連三法に係わって、単に法律全体に対しての意見でした。また主な意見の一覧表にも法律第66条に関する意見は見当たりませんでした。探し方が悪いのならプリントアウトして回答メールに添付して下し下さい。

  当たり前ですが、パブコメとは、具体的に変更、改正したい箇所を示して意見を聴きます。まだ法改正等がなされていない段階で、閣法として法案提出前に法制審議会などで審議する際に役立てるものです。法律が制定・施行されてからわずか2年以内に法律全体をパブコメして何の意味があるのですか。

  しかもこのパブコメは。公益法人制度改革関連三法に係わるものであり、任期の伸長や、休眠期間の変更などにかかる法律の条文を直接変更するものではなかったのではないですか。問われもしなければコメントしようもあるはずがありません。

  「一問一答公益法人関連三法」という書籍は読んではいませんが、仮に反対の意見が圧倒的だった、と記載されていても、公益法人関連三法に関係するものであり、法律の該当条項についてのパブコメでない以上、任期の伸長、休眠期間の伸長をしないことについての強力な援護説明とはなりません。

  改めて、申し入れます。法律の第66条や第149条について、会社法第332条第2項、会社法第472条のように伸長することについてパブコメをしませんか。菅内閣も旧弊を打破する。できるだけ簡素な行政をと規制漢和を国会で答弁しているではありませんか。

 

5.回答10,11について

① 私は質問10では何故商取引の安全を阻害するような、重任登記が必要か、と聞いているのです。また法律第75条には重任登記をしなかったことから生ずる法律上での欠員は含まれないのではないか、と聞いているのです。

  国会の政府答弁のように聞いたことに答えないつもりですか。はぐらかすのですか。

  回答5,6にあるとおり、任期の延長(伸長)の場合は変更登記は必要ないので、改めて質問10に答えて下さい。

② 質問11は、コロナ禍の中で苦しんでいる中小零細企業のことを考えれば、社員総会終結前に、つまり任期が満了する前に、理事の再任(任期の延長)が決議されたら、回答5,6のとおり、変更登記は必要ないということを認め、Q&Aを見直しませんか。

 

6.さらに言えば、休眠法人整理作業と称して、整理作業とは直接関係ない、登記簿と法律第149条に基づく届出だけで、言い換えれば、社員総会で理事の選任を正当に行っているかどうかを確かめないまま、「欠員状態にある、登記懈怠である」、と一方的に判断して、裁判所に商業登記規則第118条による通知はやめるよう要求します。

 

2020.11.12  白﨑淳一郎のブログ

さいたま地方法務局が14問中たった2問しか回答せず

14問中2問にのみ回答。曖昧な回答のため、さいたま地方法務局に通算5回目の質問

 

 あまりにも不誠実、曖昧な回答のため5回目の質問となりました。さいたま地方法務局には私に対して、納得できるよう丁寧に説明する気持、努力、姿勢はないのでしょうか。

 毎回、木で鼻をくくったような、疑問が残る回答です。5回も質問するとクレーマーのように思われますが、クレーマーとは一般的には、商品の欠陥、客への対応の仕方などについてしつこく苦情を言う人。特にその苦情が言いがかりと受け取られるような場合にいうとされ、最近の日本では損害賠償請求やごり押し等による不当な強迫要求や請求の意味で用いられる場合もあるとされています。

 私の場合は、さいたま地方法務局が、過料行為にあたるとして裁判所に通知したこと自体に法令解釈・運用上、手続き上問題があると考えられることと、裁判所の判断が私には過料の事実行為はない、としているのに対して法務局や法務省が是正措置を講じないので、それら行政行為が正当性があるかどうかを確かめるために行ってきました。

 クレーマーでないからこそ、この一連の問答をブログやフェイスブックに公開・掲載しているのです。もし問題があれば誰からでの指摘や批判に応える覚悟でいます。

 

さて、前回の10月23日のブログで10月22日に14項目に及ぶ第4回目の質問を行ったことを掲載しました。さいたま地方法務局のご意見、ご要望の欄は1000字の字数制限のため14項目を送るには10数回に分けて送付しなければなりません。そこでホームページのご意見、ご要望の欄には問1と問2のみを記載し、さいたま地方法務局からの回答メールアドレスに対して添付ファイルとして全14項目を送付していました。

 そしたら、16日もかけてホームページの意見欄の2項目だけに対して下記2のとおり回答してきました。私のメール本文にはホームページでは2問しか書けなかったこと。残りは添付ファイルに記載されていることを明示しているのに、メール添付ファイルはセキュリティの関係で開封せず、そのことについて15日間、私に対して何の連絡もしなかったのです。不誠実というか国民に対する行政サービスの低さは問題ではないでしょうか。

 しかもたったの2項目について下記2の内容で16日もかかるでしょうか。

 そこで、本ブログでは記1として2020.10.22の4回目の質問のうち問1と問2(再掲)を、記2として2020.11.06 さいたま地方法務局の今回の回答を、記3として同日付でこのさいたま地方法務局の回答に対する5回目の質問を記載しました。

 なお、回答がされなかった2020.10.22の質問の3~14については同日付で再度FAXで送信しました。

 

記1 2020.10.22の4回目の質問のうち問1と問2(再掲)

 

1.回答1について。私の質問は「(私に対する裁判所への)通知の対象となった過料に処すべき行為として具体的に法律第342条の何号に該当するのかを明記すべきです。何号でしょうか。」というものでした。そして今回の過料の通知は法律第342条第1号、同13号という回答でしたが、第1号と第13号の2つの罰条が適用されるということでしょうか。それとも第1号と第13号のどちらかでしょうか。その場合、本件は何号違反として通知される予定だったのでしょうか。もし2つの罰条を同時に適用したとする場合はそれは観念的競合ですか、併合罪ですか。

 

2.法律第342条第1号を受けているのは法律第303条と思われますが、第13号を受けているのはおそらく法律第75条と思われます。その解釈でよろしいでしょうか。

再度確認します。法律第149条は法律第342条第1号も第13号も受けていませんね。

 

 

記2 2020/11/06 (金) 8:51 さいたま地方法務局の回答

 

白崎淳一郎 様

10月22日付けメールで問合せのありました件について,以下のとおり回答します。

 

1について

登記簿上から重任であることが判断できないときは,選任懈怠として通知する事務の取扱いとなっていますので,一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第342条第13号を適用しています。

なお,観念的競合及び併合罪は刑法上の概念だと思われますが,過料は刑罰ではないので,刑法の適用はありません。

 

2について

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第149条は,みなし解散に関する規定となっています。この規定により,登記がされた場合又は事業を廃止していない旨の申出があった場合,結果,過料対象の法人となります。

なお,同法第75条の規定は,役員の権利義務に関する規定となります。

 

添付ファイルについて

メールに添付いただいたファイルについては,セキュリティの観点から,開封することができません。

誠に恐縮ではございますが,以下の宛先にFAXまたは郵便で送付いただくようお願いします。

FAX番号:048-851-1010

住所:〒338-8513 さいたま市中央区下落合五丁目12番1号(さいたま第2法務総合庁舎) 宛名:さいたま地方法務局総務課

 

さいたま地方法務局総務課

さいたま地方法務局法人登記部門

 

※ 本回答に対して,ご意見等がございましたら,本メールには返信せず,改めて「さいたま地方法務局に対するご意見・ご要望フォーム」を利用してお問合わせください。

 

 

記3 2020.11.6 上記2の回答に関する再質問(FAX)

 

さいたま地方法務局総務課

さいたま地方法務局法人登記部門  殿

 

2020.10.22にメールで添付したファイルが開封できなかったとして質問事項の2点だけの回答を2020.11.6日にいただきました。開封できなかったらなぜ電話番号もメールアドレスも分かっているのに、私に問い合わせ等をしないのですか。行政サービスとしていかがなものでしょうか。しかもたった2問について回答にどうして2週間もかかるのでしょうか。誠意が感じられません。

 

そこで改めて2020.10.22の残りの質問を記2に、今回11月6日の回答についての新たな再質問を記1に記載し、FAXで送付させていただきます。

 

1,1の回答について。

登記簿上から重任登記であると判明できない場合は、選任懈怠として通知する事務の取扱とありますが、それは法令に基づいた事務取扱でしょうか。その場合の根拠条文を教えて下さい。

 

2,1の回答について。

  「登記簿上で重任登記であると判明できない場合」とありますが、重任登記であると判明する場合はどんなときですか。

 

3.1の回答について。

  登記簿上で法律第342条第13号の選任懈怠(員数を欠くに至った場合に、その選任手続をすることを怠ったということ)が本当に分かるのでしょうか。これは10月22日の質問13とも関係しています。

つまり死亡、退職、解任などで理事の員数を欠いている、定時社員総会を開催していない。定時社員総会で理事の選任をしていない、といういわゆる選任懈怠という事実が登記簿上で判明するのでしょうか。それとも休眠をしていない旨の届出からそのことが分かるのでしょうか。

 

4.届出で分かるとした場合、法律施行規則第57条に基づく届出の様式で3の選任懈怠という事実が分かるのでしょうか。

 

5.2の回答について。

  法律第149条の見なし解散の規定で「登記がされた場合又は事業の廃止をしていない旨の申し出があった場合」と「結果」、「過料対象の法人となる」、との回答ですが、「結果」の前の文章と後の文章との因果関係が分かりません。

  どうして「結果」と簡単に言ってしまうのですか。

  つまり登記したり申出があったのに、なぜ過料対象の法人となるのかの説明を丁寧にして下さい。法律第149条のどこにも規定がありませんね。特に選任の登記した場合、選任懈怠という状態ではないですよね。その場合は登記懈怠であり法律第342条第1号ですよね。

  確認しますが、2020.10.20の回答1、そして今回の回答1のとおり今回の過料の根拠条文は法律第342条第13号であり法律第149条第1項ではありませんね。第149条に規定がないのに、どうして「結果」過料対象の法人となるのですか。よく分かるように説明して下さい。

 

6.法律第149条の解釈について。

第149条は単に休眠法人の定義と、事業を廃止していない旨の届出を2か月以内にするようにということを官報へ公告することと、2か月以内に届出をしない場合はその2か月の期間満了で解散したものとみなす。ただし、2か月の期間満了前に登記すれば解散したものとはしない、との規定がされているだけですよね。

条文上明確に規定されてはいませんが逆説的に解釈すれば、2か月以内に届出をした場合は解散したものとはみなされませんね。また届出をしても選任懈怠となるとは条文上記載がありませんね。 

さらには届出をした場合にも登記するとは条文上明確に規定されていませんね。

第149条の条文上、登記は期間内に届出をしなかった場合にみなし解散を免れるためものですよね。

まさか届出をすべき旨の官報に記載されたこと、それ自体が、選任懈怠となるのですか。法律第342条第13号には該当しませんよね。

 

7.繰り返しますが、選任懈怠と見なし解散の規定は全く別個のものです。言い換えれば法律第149条の見なし解散は法律第342条第13号の選任懈怠とは何の関係もないはずです。別個のものと考えるべきです。

  もし見なし解散の規定が選任規定の規定と関係があるとするなら、その理由と根拠条文を明確に述べて下さい。

  但し、休眠法人整理作業は根拠になりません。何故なら、休眠法人整理作業は法律第149条以外の作業(法律第342条13号違背の通知)も行うことを行う単なる行政行為だからです。従って、当該休眠法人整理作業を行なわなかった期間もあるのではないですか。

 

8.10月22日付けメールで問合せの問12への追加

  法律第149条第1項によれば、休眠一般社団法人は、2か月以内に届出をすべき旨を官報に公告することになっています。公告されたなら法人名も明らかになりますよね。だったら、公告された届出をすべき法人数だけでも公表して何が不都合なのですか。

  総数が分かり、実際に休眠とみなされた法人数は発表されているのですから、差し引きが裁判所に過料の通知をした件数となるはずです。何の問題もありません。公表すべきです。

 

2020.11.8  白﨑淳一郎のブログ

さいたま地方法務局に4回目の質問

さいたま地方法務局に対して4回目の質問を行いました

 

2020年10月20日9:07にさいたま地方法務局総務課、法人登記部門より下記1のとおりの回答が寄せられました。12日間も検討した上の回答でしたが、今回の回答も論点をはぐらかし、不誠実なものでした。まことに残念です。そこで私はわずか3日間で10月22日に下記2のとおり4回目の質問を行いました。大変長いのですが、過去の私のブログを開くのも大変な方もいらっしゃるかもしれないですし、専門用語もあり、法令解釈で法務局との認識を確認する必要性もあると考え、このような質問、意見表明となりました。ご了解いただければ幸いです。

なお法務省本省に対しては10月18日、主に重任登記について11項目に亘って質問・意見を述べています。今回のと混同すると思いもう少し待ってからブログに掲載する予定です。

 

記1 (2020.10.20 さいたま地方法務局からの回答)

 

10月9日付けメールで問合せのありました件について,以下のとおり回答します。

 

1について

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第342条第1号,同第13号

2について

含まれています。

3について

届出によって,登記事項に変更が生じていることが明らかとなったためです(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第303条)。

なお,過料に関する説明は,郵送した通知書において説明させていただいており,項目4との関係で,休眠法人整理作業による過料であることを分かるようにしています。

4について

当該通知は裁判所に対する通知であり,休眠法人整理作業による過料であることが分かるため空白としています。

5について

届出によって,登記事項に変更が生じていることが明らかとなったためです(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第303条)。商業登記規則第118条を準用する一般社団法人等登記規則第3条により通知したものです。

6について

仮定の質問には回答いたしかねます。

7について

事業を廃止していない旨の届出の件数については,公開していません。

8について

休眠法人整理作業による過料事件の通知は,登記の懈怠であることが明らかでない場合は,選任の懈怠として通知しています。

 

 

記2 (2020.10.22 第4回目の質問)

 

1.回答1について。私の質問は「(私に対する裁判所への)通知の対象となった過料に処すべき行為として具体的に法律第342条の何号に該当するのかを明記すべきです。何号でしょうか。」というものでした。そして今回の過料の通知は法律第342条第1号、同13号という回答でしたが、第1号と第13号の2つの罰条が適用されるということでしょうか。それとも第1号と第13号のどちらかでしょうか。その場合、本件は何号違反として通知される予定だったのでしょうか。もし2つの罰条を同時に適用したとする場合はそれは観念的競合ですか、併合罪ですか。

 

2.法律第342条第1号を受けているのは法律第303条と思われますが、第13号を受けているのはおそらく法律第75条と思われます。その解釈でよろしいでしょうか。

再度確認します。法律第149条は法律第342条第1号も第13号も受けていませんね。

 

3.釈迦に説法となりますが法律第342条第1号は「この法律による登記をすることを怠ったとき」と規定していることから「登記懈怠」となりますね。一方同条第13号は「その選任の手続をすることを怠った時」と規定していることから「選任手続懈怠」となりますね。あきらかに規定の仕方、法益が異なります。

  法律第342条第1号の登記懈怠とは法律第301条や第303条のように、登記すべき事項は社員総会等で有効に適法に選任等の決議がされているものの、2週間以内に登記していないことを処罰の対象としていますね。ですから社員総会を実施し民主的に定款変更、役員選出等は行われているが、それを期日までに登記しなかったというような場合を想定しています。

  一方、法律第342条第13号の選任懈怠は社員総会などを開催せず、役員の選出も適法に行っていない、欠員のままの状態であるというような、選出行為そのものを怠っている場合がこれに該当しますね。言い換えれば、同第13号は社員総会を開いて選任の手続をしなさい、ということを暗に命じていて、選任手続=社員総会等の開催をしない場合は過料となるというものだと考えられます。

  ということで、前述したとおり登記懈怠と選任懈怠は明確に法益というか適用場面、適用条件は異なります。法務局もそのことは十分に承知していると思います。

なお過料決定の私への通知では、「理由」「上記の者は、上記法人の代表理事に就任していたところ、役員が退任し、法定の員数を欠くに至ったのに、令和元年12月10までその選任手続を怠った。」として明確に「選任手続懈怠」であるとしていました。繰り返します「登記懈怠」ではありませんでした。

また、さいたま地方法務局からさいたま地方裁判所への過料の通知にも「選任懈怠」に○印が伏せられていました。となると今回の通知は「該当法条欄」は空欄となっていましたが、本当は法律第342条第1号ではなく法律第342条第13号と記載する予定ではなかったのですか。

それとも法律第342条第1号にすべきか第13号にすべきか分からなし、両方記載できないので(両方記載する場合は観念的競合か併合罪かの別を記載する)、別記第53号様式の通知文の「該当条項欄」を空欄としたまま裁判所に通知したのではないですか。単なるケアレスミス、うっかりミスなら人間ですからあり得ますが、組織としてのミスなら問題となりますね。

 

4.法律第342条第13号ですが、同号では「理事、監事、評議員又は会計監査人がこの法律又は定款で定めたその員数を欠くこととなった場合において、その選任の手続をすることを怠ったとき。」と規定しています。

 一方、法律第75条第1項では、「役員が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合」と「任期の満了又は辞任により退任した役員」は明確に分けて規定した上で、新たに選任された役員が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する規定しています。

 法律第75条第1項の前半部分は、死亡とかで実際に役員が欠けた場合や定款で定められた役員が実際には選任されず定員を満たさない場合を指します。後半部分は任期満了、辞任、退任を指しますが、いままで選任されていた人は生きており実在している場合を指します。

そして法律第342条第13号はこの明確に分けている第75条第1項の規定の前半部分だけを条文に記載しています。言い換えれば後段部分の「任期の満了により退任した役員」等は法律第342条第13号の対象からはずしていると考えるべきではないでしょうか。

 となると私の場合は、定時社員総会で定款に定めたとおりの員数の理事を選任しているので、法律第342条第13号を適用して、過料の通知を行ったというのは法適用の誤りではありませんか。

 以上3で述べたとおり本件は法律第342条第1号の登記懈怠ではない、また前述したとおり任期満了は含まないとするなら法律第342条第13号の適用もない。ならば法律第342条第1号にも第13号にも該当しないので、過料の通知をしたのは誤りであったということではありませんか。

 

5.回答2について。もともと(2020.9.27)の私の再質問3では、「法律第342条に法律第149条が含まれるか」ということでした。これに対して10月5日の回答3では、主語が曖昧のまま、「法律第149条第1項により、みなし解散した一般社団法人は(第342条に)は含まれない」との回答でした。これでは見なし解散していない「届出」をしたものは第342条に含まれるかも知れないと思い、10月9日の質問2で改めて、「第342条には「届出」をした事業場は含まれるのか」と質問したところ、今回は明確に「含まれる」との回答でした。

  では、含まれるとした理由を述べていただきます。さらに第342条の何号を受けて、法律第149条第1項のうち届出をした者を過料に処すべき行為としたのか、明確に答えてください。罰条に記載のない一般条項で処罰を求めるのは罪刑法定主義に反します。

 

6.法律第149条は単なる休眠法人の定義と、休眠法人に対して事業を廃止していない旨の届出をすることを命じ、その届出をしない場合は法務大臣が解散したものとみなす、ということを規定しているに過ぎません。この条文はいわゆる処罰をする規定ではありません。届出をしなければ解散という不利益な処分が下される、という単なる手続規定、一般条項なのです。

  この規定には、いわゆる休眠法人整理作業を行えとか、届出をしたものについては過料の通知をする、ということなどはどこにも規定されていません。だから第342条の過料に処すべき行為ではないので同号には記載されていないのです。

  繰り返しますが、法律第149条第1項の「登記が最後にあった日から5年を経過したもの」とは単に休眠法人の定義を規定したものであり、5年以内に登記をしなければない、という義務規定ではありません。

休眠法人整理作業とは法律第149条から当然に求められる行政行為ではないと考えます。もし法律に規定されている義務的行為なら、なぜ平成2年から平成13年まで、平成15年から平成25年まで当該整理作業を実施していなかったのでしょうか。さらに言えば過料処分の通知と休眠法人整理作業とを一緒くたに考えるのは誤りです。

法律第149条はあくまでも届出による休眠法人か否かの把握と届出がない場合に解散命令(休眠法人の整理作業)をするだけの規定であり、法律第303条(変更の登記)や法律第75条(役員に欠員があった場合の措置)等は分離して考え、処理すべきではないかと思います。分離しませんか。

 

7.回答3について。私の質問は休眠法人整理作業がなぜ過料の通知の対象となるのかでした。これについて「届出によって、登記事項に変更が生じていることが明らかになったためです(法律第303条)」との回答ですが、これは重大な問題を孕んでいます。

  法律第149条は休眠しているかどうかを確かめるため届出を出させ、届出のないものは休眠状態であるとして法務大臣の職権で当該法人を解散させることを規定しています。

  この規定に基づいて本当の意味の休眠法人整理作業が行われています。

  つまり届出は休眠しているかどうかを確かめるために行っています。それを届出で登記事項に変更が生じていることが明らかになる、ということは届出の目的外使用です。法務省のホームページのどこを見ても、届出を登記事項に変更があるかどうかの確認にも使用するとの説明は一切なされていません。法令にもありません。

  登記事項に変更があるのかないのかは、登記簿の原簿を持っている当該地方法務局であればいちいち届出を見なくても分かるはずです。確認業務が煩雑ならITやAIを駆使しデジタル化を推進すれば良いことです。

  届出を休眠かどうかの確認以外に使用したいのなら、法令を改正して、本人の同意を得た上で確認以外にも使用できる旨を追加してから行うべきです。現行法令での届出の目的外使用は法務行政による越権行為です。即刻行わないことを要求します。

 

8.同じく回答3について。登記事項に変更が生じていることが明らかになったためです、としてあえてカッコ書きで法律第303条と記載しています。であれば過料の通知文の適用条文は第149条ではなく法律第303条、第342条第1号と記載すべきではありませんか。

  届出によって登記事項に変更が生じていることが明らかになった、との回答ですが、法律施行規則第57条第1項では「届出は書面でしなければならない。第2項では、前項の書面には、次に掲げる事項を記載し、一般社団法人の代表者又は代理人が記名押印しなければならない。一号 当該一般社団法人の名称及び主たる事務所並びに代表者の氏名及び住所(以下省略)」。

  つまり届出では法人の名称、主たる事務所、法人代表者が分かるようになっています。しかしながら届出からはおそらく休眠ではなく何らかの営業活動をしていることは分かるのですが登記事項に変更があるかないかまでは分かりません。社員総会を開催しているかどうかも分かりません。問題は、届出を出すよう通知をした地方法務局の側は5年以上登記手続をしていないという事実だけは分かる、ということでだけなのです。

届出記載事項からは、任期満了になって時間的間隔を置かずに再任したであろうとか、定時社員総会は開かずに欠員のままでいるだろうとか、という法律第303条や第75条、第66条に係わることは分からないということです。つまり回答3の「届出によって登記事項に変更が生じていることが明らかになった」というのは誤りです。だからこそ回答8にも「登記の懈怠であることが明らかでない場合」があると認めているではありませんか。選任懈怠も社員総会を開いたかどうか、そこでどのような決議をしたのかを確認しなければ、欠員状態にあるかどうかは分かりません。

繰り返します。法律第149条の届出と法律第303条や第75条、第66条の登記懈怠や選任手続とは分けて考え、別に処理すべきだと考えます。

  なお、「過料に関する説明は、郵送書面のとおり、休眠法人整理作業による過料であることを分かるようにした」との説明ですが、前述のとおり休眠法人整理作業は法律に基づく行為ではなく、法務省のホームページでの説明のとおり、休眠法人整理作業そのものが過料の通知作業を義務付けてはいません。

  どうも地方法務局は休眠法人整理作業は解散を命じるか、過料の通知をすることだと誤解しているようですが、法律第149条をしっかり読んでいただきたい。

  このことは私に対する「過料決定のお知らせ」には、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律違反」とだけ記載され、「1.なぜ過料に処せられたのか」の説明の中には、休眠法人整理作業という文言が一言も記載されていません。整理作業と過料処分は全く別のものなので、ある意味当然と言えば当然です。

  少なくとも法律施行規則第57条にも法律第149条にも、届出をした場合のその行為の法的効果、不利益処分を得ることがあること、他の目的に使用する等の規定がないかぎり、休眠法人整理作業で把握したことを理由として過料通知の根拠とすべきではないと考えますが如何でしょうか。

 

9.回答4について。やっと「該当法条の欄」が空白、未記載であることを認めましたね。しかしその理由が「当該通知は裁判所に対する通知であり、休眠法人整理作業であることが分かるため空白としている」ということですが、商業登記等事務取扱手続準則の別記第53号様式(第81条第1項関係)という様式の(商業)には、該当法条欄には、1.会社法第976条第22号、2.会社法第915条第1項、3.会社法第976条第1号、という記載例があります。(法人)の様式には記載例がありませんが、欄外に(注)通知本文中、各種法人等登記規則第5条以外の規則において準用する場合は、該当規則を修正する。との記載があります。

  空欄にして通知しても良いとはどこにも記載されていません。商業登記等事務取扱手続準則第81条第1項では「登記官は、その職務上過料に処せられるべき者があることを知ったときは遅滞なく、別記第53号様式による通知書に登記事項証明書を添えて、その事件を管轄する地方裁判所に通知しなければならない。」と規定されています。

なぜH登記官はこの事務取扱手続準則を無視して、あえて記載の必要がない事項(法律第149条第1項)を記載し、記載が必要な「該当条項欄」は空白としたままの通知書を作成し裁判所に通知したのですか。

  裁判所に対する通知だから、ある意味身内なので手抜きも許される、ということなのですか。

  仮に私達国民が登記手続の申請、登記簿謄本等を交付申請するに当たって、必要事項の未記載は絶対に許されないし、必要事項以外のことを記載した場合は、抹線を引き訂正印を押印されることを窓口で強制されているのに、登記官は何のおとがめもないのですか。内部監察の対象になるのではないですか。

それとも相手が裁判所で平成26年から毎年通知しているから手抜きしても差し支えない(ある意味での顔パス)とでもいうのでしょうか。もっともこのような手抜きの通知を校正させずに受領する裁判所にも問題がありますが、いずれにしろ前任者踏襲主義、盲押印決済主義、事なかれ主義、悪しき官僚主義の最たる事案としか言いようがありません。

  ともあれ、「該当法条欄」が未記載と言うことは、法律第342条のどれに該当する不明ですので、法定要件を満たさない不法な通知書であったと認定されても仕方がないでしょう。

  過去にも同様の手抜きの通知をして過料処分を受けた方々に対して謝罪してはいただけませんでしょうか。

 

10.5の回答について。私の質問は、「商業登記規則第118条は「登記官は、過料に処せられるべき者があることを職務上知つたときは、遅滞なくその事件を管轄地方裁判所に通知しなければならない。」と規定しているだけで、休眠していない旨の「届出」をした者も過料の対象として通知するとの規定ではありません。「届出」をした者も通知の対象とする旨が第149条に記載されていないのです。何を根拠に「届出」をした者も通知の対象としたのか、明確に答えて下さい。」でした。

  これに対して、回答3と同じく「届出によって登記事項に変更が生じていることが明らかになったので、商業登記規則第118条、一般社団法人等登記規則第3条により通知した。」とありますがこれが回答となっているでしょうか。

  前述したとおり登記事項に変更があったかどうかは届出だけでは判明しないですし、登記事項に変更が生じていることが判明するのは、届出があって初めて分かったのでしょうか。法務局の立場(理屈)からすれば、理事の任期は法律第66条から2年で満期=任期終了となっていることになります。登記簿上就任2年を超えれば登記事項に変更があったものとしていつでも通知できるわけです。繰り返しますが休眠法人整理作業があってもなくても、届出があってもなくても、登記簿原簿をみれば役員の定年が把握でき通知できるはずです。但し、社員総会を開いて適正に選任しているのか、社員総会すら開催していないのかは登記事項記載事項からでは分かりません。

  繰り返します。第149条と通知は切り離して考えるべきです。何故なら法制定の趣旨法益が異なるからです。休眠法人整理作業と届出までは法律の求めるところですが、通知は休眠法人整理作業とは別の概念として、関連を持たせないで行うようにして下さい。

 

11.回答6について。例えば前問10のような提案が国民からなされたとき、部内で検討し必要があれば法務省本省に意見具申することはないのですか。私の質問はもし仮に上級庁が誤った指示をした場合は下級庁、現場はどう対応するのか、ということに関する考え方、方針を聞いているのです。それを仮定の質問には答えられない、というのは無責任です。

  私は労働基準監督官として30年以上労働基準行政で働いてきました。そこで労働基準法労働安全衛生法、労災認定等を現場で執行、適用するに当たって、当然ながら法令の解釈、適用、運用でたくさんの問題が生じるわけです。取りあえずは監督署内で協議し、不明や改善すべき点があれば労働局の担当の部署に相談し、必要があれば本省まで意見具申、疑義照会をしていました。本省ではその疑義照会について、基収○◯号として全国に通知するシステムがあります。それが民主的な国家行政運営だと思っています。

  でお尋ねしたいのは、法務行政にはそのような民主的なシステムはないのか、ということです。それを仮定の質問には回答しかねる、と木で鼻をくくった態度、回答は国民の目にはどう映るのでしょか。改めてシステムがどうなっているかについて回答ください。

 

12.回答7について。公開していないのは知っています。解散を命じられた件数を公開して、届出の件数をなぜ公開できないのか、その理由を聞いているのです。日本学術会議の6名の委員が推薦されなかったことについて、菅総理はその理由の説明を拒んでいます。さいたま地方法務局も開示できない理由すら言わないとしたら、やはり日本の自民党政府の下では、隠蔽体質だと国民に思われますよ。公開して何が問題なのかも明らかにできないのですか。せめて、さいたま地方法務局の分だけでも公開してください。

 

13.回答8について。「登記の懈怠であることが明かでない場合は、選任懈怠として通知している」との回答ですが、重要なことと思われますので、もう少し具体的に回答して下さい。

  前述したとおり登記懈怠とは法律第342条第1号です。つまり法定どおり理事が選任されていたが登記手続を2週間以内に行わなかったことが明らかでない、場合は選任懈怠つまり理事の選任行為すら行わなかったものととみなして通知している、との回答ですね。

  どうして理事が選任されているかも知れないのに、理事の欠員がつまり未選任だと決めつけるのですか。そのような見なし決定の権限が登記官にあるのですか。

  いずれも社員総会の議事録を確認しなければ選任の日付も未選任であるかどうかも分からないのです。分からないから法益の全く異なる罰条を適用するというのは、これほど国民を馬鹿にしている事はありません。

  これでは観念的競合か併合罪かの問題以前の話しです。

  繰り返しますが、登記懈怠かどうかは、社員総会の議事録をみなければ2週間経過かどうかは分かりません。選任懈怠かどうかも社員総会の議事録等をみて確認しなければ、社員総会を開催しているのかどうかは分かりません。通知に添付されている登記事項証明書だけでは、単に登記が5年以上なされていないことが分かるだけで、それが登記懈怠なのか選任懈怠なのかは分からないのです。だから私の場合は、裁判所が社員総会議事録の写しの提出を求め、登記懈怠か選任懈怠か、の判断材料にしたのです。

どうしても届出に社員総会の議事録写しを添付させたいなら法律第149条や法律施行規則第57条の改正が必要です。つまり現行法令では届出や登記事項証明書だけで、過料の通知を出せないと言うことを意味しています。

  日本国は法治国家です。Aが不明ならBで処罰を求めるというのは罪刑法定主義に反します。処罰をするためには登記の懈怠があるのか、選任懈怠の事実があるのか、明確に調べ、証拠を確定してから過料処分の行為があったと判断し通知すべきです。

  過料処分は3万円の少額で戸籍にも記載されないから、という安易な気持で証拠もなしに過料の通知を行うことは厳に慎んでいただきたい。

  

14.地方裁判所が登記事項証明書だけで過料の決定をしようとしたら、異議申立が行われ、結局「申立人は本件法人設立時に本件法人の理事及び代表理事に就任したが、その後、理事の任期満了前に、社員総会において同人について理事再任の手続が行われたことが認められ、本件の役員選任義務懈怠の事実は認められない。したがって、本件について、申立人を不処罰とするのが相当である。」という過料決定の取り消し処分が行われたのです。

  つまり、届出及び通知書添付の登記事項証明書だけでは、登記懈怠も選任懈怠も証明できないのです。繰り返しますが通知するのはそもそも休眠法人整理作業とは直接関係ないのです。したがって本年から通知は止めるべきです。

  行政改革規制緩和の時代に法が求める届出と休眠法人のみなし解散だけを行えばよいのに、国民イジメの証拠不十分なままの通知はやめていただきたい。

  以上のことから、法令にない届出と証拠不十分の思い込みによる通知作業を行ったことについて私だけでなく国民に対しても謝罪するとともに、過料処分を受けた方々全員に返金を求めます。

 

                 2020.10.23 白崎淳一郎のブログ

さいたま法務局と3回目のバトル

さいたま法務局に対して3回目の質問を行いました

 

 2020/10/05 (月) 17:44 さいたま法務局法人登記部門から下記1のとおりの回答がありました。のらりくらりではなく簡潔な回答でしたのでその意味では評価できるのですが、簡潔すぎて肝心な部分について、回答を意図的に行っていないという問題があります。まさにお役人的な回答でした。私も30年以上国家公務員をしていましたが、私が所属長なら決済印は押さないと思うような内容でした。そこで多少しつこいとは思いますが下記2のとおり3回目の質問を10月9日行いました。

 

記1 (さいたま法務局の2回目の回答)

 

白崎淳一郎 様

 

9月27日付けメールで問合せのありました件について,以下のとおり回答します。

 

1について

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第342条

2について

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第342条に規定する過料に処するべき行為を行った者

3について

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第149条第1項により,みなし解散した休眠一般社団法人は含まれません。

4,5について

休眠法人整理作業による過料であることを分かるようにしています。

6について

一般社団法人等登記規則第3条において準用する商業登記規則第118条

7について

法令等に基づき統一した事務をしていることを伝えたものです。

8について

過料事件の通知に係る件数については,公開していません。

9について

法務省ホームページの「法務行政に関するご意見・ご提案」で受け付けしています。

https://www.moj.go.jp/mojmail/kouhouinput.php

 

さいたま地方法務局法人登記部門

※ 本回答に対して,ご意見等がございましたら,本メールには返信せず,改めて「さいたま地方法務局に対するご意見・ご要望フォーム」を利用してお問合わせください。

 

 

以上がさいたま法務局の回答ですが全くもって不十分です。なお質問内容は9月27日のブログをみて下さい。そこで改めて、下記のとおり3回目の質問を行いました。

 

 

記2 (2020.10.9 3回目の質問)

 

1.回答2について。今回は見なし解散関係の法第149条で過料の通知を行っているので、法第342条だけでは不十分です。通知の対象となった過料に処すべき行為として具体的に第342条の何号に該当するのかを明記すべきです。何号でしょうか。

 

2.回答3について。文面からは第342条の過料に処すべき行為に第149条1項は含まれていないと読めるのですので一定評価できます。が、あえて「見なし解散した休眠一般法人は含まれない。」と記載しているため、見なし解散を命じられた者は過料の対象とはならないが、まだ見なし解散法人となっていない、いわゆる休眠していない旨の届出(以下「届出」という。)をした法人は含まれる、と解釈することもできます。

 「届出」は第149条第1項にあるので、届出をした者も過料に処すき行為に該当するのか否かはこの回答だけでは不十分であり分かりません。質問に対して微妙にすり替えた回答となっています。第342条の各号には第149条に規定する「届出」をした事業場は含まれているのか、いないのか、明確に回答していただきたい。

 

3.回答4について。通知文書に理由の記載欄はないが、休眠法人整理作業による過料であることが分かるようにという親切心からあえて記載した、ということは分かりました。しかし休眠法人整理作業がなぜ過料の通知の対象となるのかという説明がありません。法務省のホームページでの解説でも、届出をした者も過料の通知を受けることがあるとは一言も述べていません。第342条にも休眠法人整理作業ということは一言も触れられていないので、第149条はよけいな記載だと考えます。むしろ誤解を招かないためにも第149条は記載すべきではないと考えますが如何でしょうか。

 

4.回答5について。なぜ該当条項欄が空白なのかについて回答していません。上記の1で述べたとおり、第342条第○○号と具体的に号数を記載すべきなのに条文どころか号数も記載していない理由を述べることをあえて避けています。3で述べたとおり休眠法人整理作業それ自体は第342条に基づく過料行為とは直接何の関係がないから記載できなかった、と考えるのが常識的だと考えます。再度未記入、空白とした理由を述べてください。

 

5.回答6について。商業登記規則第118条は「登記官は、過料に処せられるべき者があることを職務上知つたときは、遅滞なくその事件を管轄地方裁判所に通知しなければならない。」と規定しているだけで、休眠していない旨の「届出」をした者も過料の対象として通知するとの規定ではありません。「届出」をした者も通知の対象とする旨が第149条に記載されていないのです。何を根拠に「届出」をした者も通知の対象としたのか、明確に答えて下さい。

 

6.回答7について。上級官庁の通知に従うのは統一した行政を執行するためということは分かります。しかし私の質問はもし上級庁の通知が仮に誤ったものである場合は国民に責任を負う登記官として、あるいは現場を仕切る下級官庁として、どうすべきか、どう責任を負うべきなのか、を問うているのです。登記事務に於いては当該事務を執行する登記官が、「独任官」として業務を執行していると言われています。つまり登記官は国民に一番近い場所で国民のために、それぞれの責任において行政を行うのであって、上級庁のために行うのではありません。あらためて仮に上級庁が誤った通知等を行った場合は登記官としてどうするのか、回答を求めます。

 

7.回答8について。「届出」の件数を公開していない理由が述べられていません。件数なので個人情報は含まれていません。情報公開法第5条に照らしても公開すべき情報である考えます。見なし休眠とし解散させられた法人数を公開しているのであれば、「届出」をした法人数を公開してもなんら問題はないはずです。少なくとも公開できないならその理由を述べるべきです。

 

8.最後に休眠法人整理作業の本来の目的は、商取引の安定のため、本当に休眠しているのかしていないかを確認し、休眠しているなら職権で解散を命じることにある、と法務省のホームページで説明されています。休眠していない旨の届出をした法人についてどう処理するかは第149条の法文上明確に規定されていません。そこで法務局は第66条の理事の任期の規定を拡大解釈して、任期満了すると自動的に役員は解任されたものと判断される。その場合、改めて選任(重任)の登記をしなければ役員の未選任となり第303条の役員変更の登記をしていないものとして、第342条第1号あるいは第13号違反として通知すれば取りあえず合法的だったのです。

重任登記をせず「届出」をしているということは、理事等が死亡、退任はしていないはずです。その場合は、1の「選任懈怠」ではなく、2の「登記懈怠」に丸印が付けられるはずです。なぜ選任懈怠に◯印がつけられていたのでしょうか。

ともあれ罪刑法定主義を軽視し、適用条項を横着して空欄としたまま、342条に該当しない第149条で過料の通知を誤って行ったことを、国民に謝罪すべきです。

                                  以上

 

 いうまでもなく、今までの質問、法務局の回答はそして今回の質問もすべて私のブログ及びフェイスブックで公開されています。

 なお繰り返しますが重任登記の是非については2年ごとの形式的登記が必要なのか、規制緩和の観点からも問題であるので本省に対して公開質問を行わせていただきます。

 2020.10.9 白﨑淳一郎のブログ

罪刑法定主義で法務局回答に再質問を行う

ピント外れの回答が10日ぶりにあり、再質問をしました

 

 前回のブログのとおり9月14日に、さいたま法務局のホームページへ質問・要望を行ってきました。これに対し9月24日17時04分に下記1のとおり回答にもならない回答がありました。そこで9月27日に下記2のとおり再度回答を求めるメールを書きました。千文字に限定されているので2回に分けて質問しましたが、このブログでは通しで記載します。また質問はご飯回答を防ぐため、原則短答式で答えるように求めています。なお、休眠期間の問題(会社法12年、一般社団法人5年)、重任登記の問題は本省のメールアドレスを知ってから本省に対して行いたいと考えています。

 論評は後日行うとして、まず事実だけを転載します。

 

記1 (2020.9.24 法務局回答メール)

 

9月14日付けメールで問合せのありました件について,以下のとおり回答します。

 

1について

 令和元年において,一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第149条第1項又は第203条第1項の規定により解散したとみなされる一般社団法人及び一般財団法人の整理作業を実施し,一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第149条第1項又は第203条第1項の期間内に適式な届出,又は登記をした一般社団法人・一般財団法人については,一般社団法人等登記規則第3条において準用する商業登記規則第118条の規定により,令和元年12月17日付けで裁判所に過料事件の通知をしたものです。その後,裁判所において審理がされ,過料事件が決定されたものです。

 本作業については,一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び商業登記等事務取扱手続準則のほか,上級庁の通知に基づき実施しているものであり,過料事件の通知についても,これらの法令等に基づき手続したものでありますので,何卒御理解を賜りますよう,お願いします。

 

2,3,4について

 上記1の説明にて,何卒御理解を賜りますよう,お願いします。

 なお,解散したものとみなされた株式会社数及び解散したものとみなされた一般社団法人及び一般財団法人数(※)を,法務省ホームページで掲示されていますので,参考にしていただければと存じます。

 

※ さいたま地方法務局のホームページのトップページの中段に,「休眠会社・休眠一般法人の整理作業について」があり,これを選択すると,法務省ホームページの「休眠会社・休眠一般法人の整理作業について」を見ることができます。

※ 本回答に対して,ご意見等がございましたら,本メールには返信せず,改めて「さいたま地方法務局に対するご意見・ご要望フォーム」を利用してお問合わせください。

さいたま地方法務局法人登記部門

 

 

記2 (9月27日白﨑再質問)

 

1.「過料」は刑法第9条に規定する刑罰であり、憲法第31条では法律の定める手続によらなければ、刑罰は科せられないと規定している。この法律の定める手続とは、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「法律」という。)では何条か。

2.一般社団法人の場合、商業登記規則第118条の過料に処せられるべき者として通知されるべき者とは、法律第342条に規定する過料に処すべき行為を行った者か。1)342条に規定する行為を行った者、2)第342条に規定する行為者以外も通知の対象となる(その場合は具体的事例と適用条文)

3.法律第342条の過料に処すべき行為に法第149条第1項は含まれているか。1)含まれていない、2)含まれている、3)含まれてはいないが罪刑法定主義には反しない。

4.商業登記等事務取扱規則第81条、別記第53号様式には、過料に処せられるべき事件について、該当法条の記載欄はあるが、理由を記載する欄はない。なぜ法律第149条を記載したのか。1)記載する必要はなかった、2)休眠法人整理作業で通知したということを理解してもらうため、3)その他(理由)

5.日記(過料)第1948号、令和1年12月17日付けで通知した内容には該当法条欄が空欄となっている。本来なら法律第342条第○◯号と具体的に記載すべきだと思うが、なぜ空欄のままで通知したのか。1)法律第342条に該当しないので記載できなかった、2)受付番号の欄に第149条第1項と記載してあるので休眠法人整理作業で通知したということが分かると思ったから、3)単なる記載ミスである。

6.9月24日付けメール回答の1であるが、期日までに休眠をしていない旨の届出をした者も登記をした者もすべて過料事件の対象として通知していると読める。法律第149条、同施行規則第57条のどこにも規定がない。だまし討ちである。通知する根拠を示すこと。

7.また前記回答では「本作業については,法律及び商業登記等事務取扱手続準則のほか,上級庁の通知に基づき実施しているものであり,過料事件の通知についても,これらの法令等に基づき手続したものであります。」と述べているが、手続準則第81条は単なる様式を含む通知の仕方であり様式53号に記載すべき内容は登記官の責任で行うはずである。問題は「上級庁の通知」であるが公開・公表されていない。公の批判を受けない内部通達を理由にその手続に従ったといっても反論、回答の理由にならない。上級庁の通知のため、は責任転嫁というものである。上級庁の通知が仮に誤ったものであっても国民は我慢すべきだとでも言うのであろうか。登記官は国民に対して責任ある行動をすべきではなかろうか(憲法第15条第2項)。

8.法務局のホームページではみなし解散した法人数しか分からない。私が聴きたいのは法施行規則第57条の休眠していない旨の届出をした数つまり6の過料事件の通知をした件数である。少なくともさいたま法務局分は情報開示していただきたい。

9.重任登記については本省がQ&A2310を出している。管内閣の規制改革の方針が出されているので、国民に無駄な負担を掛ける重任登記についても本省に問い合わせを行いたいと思っている。本省の担当部署のメールアドレスを教えていただきたい。

 

 以上 2020.9.27 白崎淳一郎のブログ

被害者全員に謝罪と過料3万円を法務局に要望

被害者全員に対して謝罪と過料3万円の返還をさいたま法務局に要望

 

 法務局に対するご意見・ご要望は,管轄の法務局へお寄せくださいとのホームページの案内により、2020.9.14、16:35 さいたま地方法務局宛に意見/要望を行いました。メールは正しく送信されたということです。以下その内容です。個人名はイニシャルとしました。

 

 標題 謝罪及び過料3万円の返還を求めます。

 

(本文)

 私は、令和元年12月17日付け、さいたま地方法務局登記官Hの名前で、「過料に処せられるべき事件を発見した」ということで商業登記規則第118条により、さいたま地方裁判所越谷支部に通報された者です。

 その結果、同裁判所越谷支部から令和2年2月26日に過料決定を受けましたが、この決定に対して異議申立を行ったところ、令和2年8月19日に、過料決定取り消しの通知をいただきました。そこでこの件について次のとおり意見がありますので回答を求めます。

1.過料に処せられるべき事件として、通知書には一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「法律」という。)第149条第1項、役員の選任懈怠とありましたが、法律第342条の過料に処すべき行為に第149条1項は記載されていません。つまり過料にすべき事案でもないにも拘わらず過料に処せられるべき事件として、誤って通報してしまったと考えられます。誤りを認めますか?その場合、何故誤ったのか原因調査、誤りが見逃されてきた経緯、今後の防止対策を含めて検討し、その結果を私に報告しあわせて私に謝罪しませんか?

2.この誤りの通知は、おそらく平成26年から再開された、休眠法人整理作業のときからだと思いますが、さいたま法務局管内で計何件、全国で計何件誤って通知しましたか?

3.誤りを認めるとしたら、憲法第14条の法の下の平等の観点から、私だけでなく、通知した全ての方々に対して、誤りであったこと、またなぜその誤りが発生しかつ是正されないまま放置されていたのかの説明と謝罪文を郵送すべきではありませんか?

4.なお過料決定に従い3万円の過料をすでに納付された方々全員に対して、3万円を利息付きで返却すべきではありませんか?

※ O登記官とこの件について話し合いが行われ、私が法務省本省に問い合わせ等を行うことになっていましたが、本省のホームページでは最寄りの法務局へ、とありましたので、今回この様式を使用しました。なお、謝罪は郵送によることが困難と思われる場合には記者会見の実施と新聞によるお知らせでも差し支えないものとします。

 

意見要望は1千字以内ということなので、取りあえず罪刑法定主義についてのみ問い合わせをしました。次回は重任登記の是非について問い合わせをしたいと考えています。

 

2020.9.14  白﨑淳一郎のブログ

今(現在)はまだウィズコロナ ではないでしょ!

今はまだウィズコロナ ではないでしょ!

 

 

「ウィズコロナ」または「withコロナ」は、新型コロナウイルスが(少なくとも短期的には)撲滅困難であることを前提とした、新たな戦略や生活様式のことと言われています。2020年5月末に東京都知事が言及したことにより、比較的よく知られる言葉となったそうです。

Go Toトラベル、Go Toイートを推進・容認するグループでよく使われているようです。

ウィズコロナという言葉には、「新型コロナウイルスの流行は多かれ少なかれ、良かれ悪しかれ,世の中に変革をもたらした」「流行する以前の社会に完全に戻すことはもはや不可能である」という認識も含まれるそうです。意識改革が必要だということでしょうか。

私より3歳年下の政治評論家の田崎史郎氏も、政府のコロナ対策代弁者、擁護者の立場からか、ことある毎に得意げに、このウィズコロナの発言をしています。

 

しかし待って欲しい。私は73歳で狭心症、糖尿病その他の持病を持っています。特効薬もなく、ワクチンもない中で、コロナウイルスに遭遇(感染)したらどうなるでしょうか。

かかりつけの医師は「即、OUT」と脅し、とにかくマスクの装着、手洗いの励行、ソーシャルディスタンスの維持をはかりなさいと、口を酸っぱくして言っています。

つまり私達のような高齢者、リスクの高い人にとっては、ウィズコロナということはあり得ないのです。コロナウイルスと共に(With)過ごすことは命取りなのです。

 

本当にウィズコロナという状況にするためには、特効薬や有効なワクチンが開発されていない状況下では、少なくとも感染者がリスクが高い人の周りにいない、という状況を作ることしかないと思います。

つまり、できるだけ無症状の人も含め大多数の人にPCR検査や抗原検査を受けてもらい、陽性者はホテルや病院に保護(隔離)する。当該検査を受けていないものは引き続き行動の自粛を求める。陰性であることが確認されたら、思いっきり飲み、歌い、遊び、旅行しそして仕事をする。

これが本当のウィズコロナだと思います。

 

8月28日安倍首相が辞任することを表明しました。このとき政府の新しいコロナ対策も発表されました。内容は①ワクチンは、来年前半までに全国民に提供できる量の確保を目指す。②症状が似るインフルエンザとコロナの検査が同時にできるよう、冬までに1日20万件の検査能力を確保する。③感染拡大地域では医療機関や高齢者施設の職員、入所者らを定期的に検査して集団感染防止を図る。④無症状者、軽症者も含めて「原則入院」とする感染症法上の運用を見直す。⑤宿泊・自宅療養を徹底し、医療機関や保健所がリスクの高い人に集中できるようにする。

 

まず現在の国際的なワクチン開発競争でどうなるかは分かりませんが、日本人の基礎疾患を有する高齢者、妊産婦、小学生以下の子供等に副作用がないかを見極めてからでないと、いくら製薬会社に免責保証しても国の免責は免れません。というより副作用があることを前提に国家賠償することを前提にワクチン接種を拡大するのはいかがかと思います。コロナ対策の1番目とするにはあまりにも不確実、あてにならない対策のような気がします。1番目ではないと思います。

 

次にPCR検査ですが、「冬までに1日20万件を目指す」としています。「総務省は16日の敬老の日に合わせ、65歳以上の高齢者の推計人口(9月15日現在)を発表した。今年は団塊の世代(1947~49年生まれ)が70歳以上となる年に当たり、70歳以上の人口は前年より98万人多い2715万人で、2700万人を突破した。総人口に占める割合は21・5%(前年比0・8ポイント増)となった。」(2019.9.15読売新聞)65歳以上だと3588万人だそうです。

1日10万人を70歳以上の高齢者に検査したとしても2715万人÷10万件­=271日かかります。65歳以上なら358日、つまりほぼ1年かかります。しかし、現実にはクラスターでの濃厚接触者とか医療関係者が優先だとすれば1日10万件のうちどれくらい高齢者に検査できるのでしょうか。

ではリスクの高い高齢者は後回しにして、元気で活動的な方々を優先するとしたなら、1億人÷10万件=10,000日÷3365日=27年かかります。気が遠くなります。

いかに1日10万件がつまらない、ヤル気のない目標であるかがわかります。PCR検査の1000人あたりの検査人数は、GDP世界第3位の国が、OECD加盟36カ国中第35位なのです。

「日本の検査数(1.8人/1000人)は、トップのアイスランドの135人と比べると2桁も少ない。OECD加盟国平均の23.1人と比べても1桁少ない。また、韓国の11.7人と比べても、15%程度にとどまっている。また、イタリア29.7人、ドイツ25.1人、スペイン22.3人、アメリカ16.4人、イギリス9.9人、フランス9.1人など多くの感染者を出している欧米諸国に比べても、日本の検査数の少なさが目立つ。」(OECD。2020.4.28発表、高橋浩祐4.30フェイスブックより)

10兆円の予備費をなぜ検査拡大対策に使わないのか。全く不十分としか言いようがありません。せめてOECD3位のドイツの25.1人にするには25.1÷1.8=13.94つまり1日140万件の検査を行ってもドイツ並みなのです。この冬には10万件を目指すとは、恥ずかしくて穴に入りたい気分です。自民党公明党の与党の皆さん。大丈夫ですか?

 

 ⑤の「宿泊・自宅療養を徹底し」云々ですが、徹底するためにはGo Toトラベルではなく、コロナ対策のためにホテル宿泊施設が喜びそうな借り上げ費用を給付する。自宅療養者のためにGo Toイートではなく、デリバリー業者や自宅の近場の飲食店が喜びそうなデリバリー(出前)費用込みの飲食代を10兆円の予備費から国が支払う。どうしてそういう決断というか方針が示されないのでしょうか。

 

 今回予備費の使途について方針が示されませんでしたが、機器を含めたPCR検査体制の拡充、宿泊体制、弁当や食事の手配等の拡充に向けて、与野党含めて真剣に議論し、政府を追及すべきだと思います。

 

 しかし辞任されるお方に言っても仕方がありませんが、この安倍政権は民主党とは別の意味の「公文書を改ざんする悪夢のような」政治運営をしてきたと、後の歴史家は言うかも知れません。新しい政権はまず今なでとってきた対策会議の議事録や資料を明らかにし第三者機関等で検証するとともに、成功したと言われる台湾等はじめとするコロナ対策先進国から対策を学び、それこそ真のウィズコロナ=「意識改革」に向けて全力を注入すべきだと考えます。

 

2020.8.29 白崎淳一郎のBlog