さいたま地方法務局に4回目の質問

さいたま地方法務局に対して4回目の質問を行いました

 

2020年10月20日9:07にさいたま地方法務局総務課、法人登記部門より下記1のとおりの回答が寄せられました。12日間も検討した上の回答でしたが、今回の回答も論点をはぐらかし、不誠実なものでした。まことに残念です。そこで私はわずか3日間で10月22日に下記2のとおり4回目の質問を行いました。大変長いのですが、過去の私のブログを開くのも大変な方もいらっしゃるかもしれないですし、専門用語もあり、法令解釈で法務局との認識を確認する必要性もあると考え、このような質問、意見表明となりました。ご了解いただければ幸いです。

なお法務省本省に対しては10月18日、主に重任登記について11項目に亘って質問・意見を述べています。今回のと混同すると思いもう少し待ってからブログに掲載する予定です。

 

記1 (2020.10.20 さいたま地方法務局からの回答)

 

10月9日付けメールで問合せのありました件について,以下のとおり回答します。

 

1について

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第342条第1号,同第13号

2について

含まれています。

3について

届出によって,登記事項に変更が生じていることが明らかとなったためです(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第303条)。

なお,過料に関する説明は,郵送した通知書において説明させていただいており,項目4との関係で,休眠法人整理作業による過料であることを分かるようにしています。

4について

当該通知は裁判所に対する通知であり,休眠法人整理作業による過料であることが分かるため空白としています。

5について

届出によって,登記事項に変更が生じていることが明らかとなったためです(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第303条)。商業登記規則第118条を準用する一般社団法人等登記規則第3条により通知したものです。

6について

仮定の質問には回答いたしかねます。

7について

事業を廃止していない旨の届出の件数については,公開していません。

8について

休眠法人整理作業による過料事件の通知は,登記の懈怠であることが明らかでない場合は,選任の懈怠として通知しています。

 

 

記2 (2020.10.22 第4回目の質問)

 

1.回答1について。私の質問は「(私に対する裁判所への)通知の対象となった過料に処すべき行為として具体的に法律第342条の何号に該当するのかを明記すべきです。何号でしょうか。」というものでした。そして今回の過料の通知は法律第342条第1号、同13号という回答でしたが、第1号と第13号の2つの罰条が適用されるということでしょうか。それとも第1号と第13号のどちらかでしょうか。その場合、本件は何号違反として通知される予定だったのでしょうか。もし2つの罰条を同時に適用したとする場合はそれは観念的競合ですか、併合罪ですか。

 

2.法律第342条第1号を受けているのは法律第303条と思われますが、第13号を受けているのはおそらく法律第75条と思われます。その解釈でよろしいでしょうか。

再度確認します。法律第149条は法律第342条第1号も第13号も受けていませんね。

 

3.釈迦に説法となりますが法律第342条第1号は「この法律による登記をすることを怠ったとき」と規定していることから「登記懈怠」となりますね。一方同条第13号は「その選任の手続をすることを怠った時」と規定していることから「選任手続懈怠」となりますね。あきらかに規定の仕方、法益が異なります。

  法律第342条第1号の登記懈怠とは法律第301条や第303条のように、登記すべき事項は社員総会等で有効に適法に選任等の決議がされているものの、2週間以内に登記していないことを処罰の対象としていますね。ですから社員総会を実施し民主的に定款変更、役員選出等は行われているが、それを期日までに登記しなかったというような場合を想定しています。

  一方、法律第342条第13号の選任懈怠は社員総会などを開催せず、役員の選出も適法に行っていない、欠員のままの状態であるというような、選出行為そのものを怠っている場合がこれに該当しますね。言い換えれば、同第13号は社員総会を開いて選任の手続をしなさい、ということを暗に命じていて、選任手続=社員総会等の開催をしない場合は過料となるというものだと考えられます。

  ということで、前述したとおり登記懈怠と選任懈怠は明確に法益というか適用場面、適用条件は異なります。法務局もそのことは十分に承知していると思います。

なお過料決定の私への通知では、「理由」「上記の者は、上記法人の代表理事に就任していたところ、役員が退任し、法定の員数を欠くに至ったのに、令和元年12月10までその選任手続を怠った。」として明確に「選任手続懈怠」であるとしていました。繰り返します「登記懈怠」ではありませんでした。

また、さいたま地方法務局からさいたま地方裁判所への過料の通知にも「選任懈怠」に○印が伏せられていました。となると今回の通知は「該当法条欄」は空欄となっていましたが、本当は法律第342条第1号ではなく法律第342条第13号と記載する予定ではなかったのですか。

それとも法律第342条第1号にすべきか第13号にすべきか分からなし、両方記載できないので(両方記載する場合は観念的競合か併合罪かの別を記載する)、別記第53号様式の通知文の「該当条項欄」を空欄としたまま裁判所に通知したのではないですか。単なるケアレスミス、うっかりミスなら人間ですからあり得ますが、組織としてのミスなら問題となりますね。

 

4.法律第342条第13号ですが、同号では「理事、監事、評議員又は会計監査人がこの法律又は定款で定めたその員数を欠くこととなった場合において、その選任の手続をすることを怠ったとき。」と規定しています。

 一方、法律第75条第1項では、「役員が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数が欠けた場合」と「任期の満了又は辞任により退任した役員」は明確に分けて規定した上で、新たに選任された役員が就任するまで、なお役員としての権利義務を有する規定しています。

 法律第75条第1項の前半部分は、死亡とかで実際に役員が欠けた場合や定款で定められた役員が実際には選任されず定員を満たさない場合を指します。後半部分は任期満了、辞任、退任を指しますが、いままで選任されていた人は生きており実在している場合を指します。

そして法律第342条第13号はこの明確に分けている第75条第1項の規定の前半部分だけを条文に記載しています。言い換えれば後段部分の「任期の満了により退任した役員」等は法律第342条第13号の対象からはずしていると考えるべきではないでしょうか。

 となると私の場合は、定時社員総会で定款に定めたとおりの員数の理事を選任しているので、法律第342条第13号を適用して、過料の通知を行ったというのは法適用の誤りではありませんか。

 以上3で述べたとおり本件は法律第342条第1号の登記懈怠ではない、また前述したとおり任期満了は含まないとするなら法律第342条第13号の適用もない。ならば法律第342条第1号にも第13号にも該当しないので、過料の通知をしたのは誤りであったということではありませんか。

 

5.回答2について。もともと(2020.9.27)の私の再質問3では、「法律第342条に法律第149条が含まれるか」ということでした。これに対して10月5日の回答3では、主語が曖昧のまま、「法律第149条第1項により、みなし解散した一般社団法人は(第342条に)は含まれない」との回答でした。これでは見なし解散していない「届出」をしたものは第342条に含まれるかも知れないと思い、10月9日の質問2で改めて、「第342条には「届出」をした事業場は含まれるのか」と質問したところ、今回は明確に「含まれる」との回答でした。

  では、含まれるとした理由を述べていただきます。さらに第342条の何号を受けて、法律第149条第1項のうち届出をした者を過料に処すべき行為としたのか、明確に答えてください。罰条に記載のない一般条項で処罰を求めるのは罪刑法定主義に反します。

 

6.法律第149条は単なる休眠法人の定義と、休眠法人に対して事業を廃止していない旨の届出をすることを命じ、その届出をしない場合は法務大臣が解散したものとみなす、ということを規定しているに過ぎません。この条文はいわゆる処罰をする規定ではありません。届出をしなければ解散という不利益な処分が下される、という単なる手続規定、一般条項なのです。

  この規定には、いわゆる休眠法人整理作業を行えとか、届出をしたものについては過料の通知をする、ということなどはどこにも規定されていません。だから第342条の過料に処すべき行為ではないので同号には記載されていないのです。

  繰り返しますが、法律第149条第1項の「登記が最後にあった日から5年を経過したもの」とは単に休眠法人の定義を規定したものであり、5年以内に登記をしなければない、という義務規定ではありません。

休眠法人整理作業とは法律第149条から当然に求められる行政行為ではないと考えます。もし法律に規定されている義務的行為なら、なぜ平成2年から平成13年まで、平成15年から平成25年まで当該整理作業を実施していなかったのでしょうか。さらに言えば過料処分の通知と休眠法人整理作業とを一緒くたに考えるのは誤りです。

法律第149条はあくまでも届出による休眠法人か否かの把握と届出がない場合に解散命令(休眠法人の整理作業)をするだけの規定であり、法律第303条(変更の登記)や法律第75条(役員に欠員があった場合の措置)等は分離して考え、処理すべきではないかと思います。分離しませんか。

 

7.回答3について。私の質問は休眠法人整理作業がなぜ過料の通知の対象となるのかでした。これについて「届出によって、登記事項に変更が生じていることが明らかになったためです(法律第303条)」との回答ですが、これは重大な問題を孕んでいます。

  法律第149条は休眠しているかどうかを確かめるため届出を出させ、届出のないものは休眠状態であるとして法務大臣の職権で当該法人を解散させることを規定しています。

  この規定に基づいて本当の意味の休眠法人整理作業が行われています。

  つまり届出は休眠しているかどうかを確かめるために行っています。それを届出で登記事項に変更が生じていることが明らかになる、ということは届出の目的外使用です。法務省のホームページのどこを見ても、届出を登記事項に変更があるかどうかの確認にも使用するとの説明は一切なされていません。法令にもありません。

  登記事項に変更があるのかないのかは、登記簿の原簿を持っている当該地方法務局であればいちいち届出を見なくても分かるはずです。確認業務が煩雑ならITやAIを駆使しデジタル化を推進すれば良いことです。

  届出を休眠かどうかの確認以外に使用したいのなら、法令を改正して、本人の同意を得た上で確認以外にも使用できる旨を追加してから行うべきです。現行法令での届出の目的外使用は法務行政による越権行為です。即刻行わないことを要求します。

 

8.同じく回答3について。登記事項に変更が生じていることが明らかになったためです、としてあえてカッコ書きで法律第303条と記載しています。であれば過料の通知文の適用条文は第149条ではなく法律第303条、第342条第1号と記載すべきではありませんか。

  届出によって登記事項に変更が生じていることが明らかになった、との回答ですが、法律施行規則第57条第1項では「届出は書面でしなければならない。第2項では、前項の書面には、次に掲げる事項を記載し、一般社団法人の代表者又は代理人が記名押印しなければならない。一号 当該一般社団法人の名称及び主たる事務所並びに代表者の氏名及び住所(以下省略)」。

  つまり届出では法人の名称、主たる事務所、法人代表者が分かるようになっています。しかしながら届出からはおそらく休眠ではなく何らかの営業活動をしていることは分かるのですが登記事項に変更があるかないかまでは分かりません。社員総会を開催しているかどうかも分かりません。問題は、届出を出すよう通知をした地方法務局の側は5年以上登記手続をしていないという事実だけは分かる、ということでだけなのです。

届出記載事項からは、任期満了になって時間的間隔を置かずに再任したであろうとか、定時社員総会は開かずに欠員のままでいるだろうとか、という法律第303条や第75条、第66条に係わることは分からないということです。つまり回答3の「届出によって登記事項に変更が生じていることが明らかになった」というのは誤りです。だからこそ回答8にも「登記の懈怠であることが明らかでない場合」があると認めているではありませんか。選任懈怠も社員総会を開いたかどうか、そこでどのような決議をしたのかを確認しなければ、欠員状態にあるかどうかは分かりません。

繰り返します。法律第149条の届出と法律第303条や第75条、第66条の登記懈怠や選任手続とは分けて考え、別に処理すべきだと考えます。

  なお、「過料に関する説明は、郵送書面のとおり、休眠法人整理作業による過料であることを分かるようにした」との説明ですが、前述のとおり休眠法人整理作業は法律に基づく行為ではなく、法務省のホームページでの説明のとおり、休眠法人整理作業そのものが過料の通知作業を義務付けてはいません。

  どうも地方法務局は休眠法人整理作業は解散を命じるか、過料の通知をすることだと誤解しているようですが、法律第149条をしっかり読んでいただきたい。

  このことは私に対する「過料決定のお知らせ」には、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律違反」とだけ記載され、「1.なぜ過料に処せられたのか」の説明の中には、休眠法人整理作業という文言が一言も記載されていません。整理作業と過料処分は全く別のものなので、ある意味当然と言えば当然です。

  少なくとも法律施行規則第57条にも法律第149条にも、届出をした場合のその行為の法的効果、不利益処分を得ることがあること、他の目的に使用する等の規定がないかぎり、休眠法人整理作業で把握したことを理由として過料通知の根拠とすべきではないと考えますが如何でしょうか。

 

9.回答4について。やっと「該当法条の欄」が空白、未記載であることを認めましたね。しかしその理由が「当該通知は裁判所に対する通知であり、休眠法人整理作業であることが分かるため空白としている」ということですが、商業登記等事務取扱手続準則の別記第53号様式(第81条第1項関係)という様式の(商業)には、該当法条欄には、1.会社法第976条第22号、2.会社法第915条第1項、3.会社法第976条第1号、という記載例があります。(法人)の様式には記載例がありませんが、欄外に(注)通知本文中、各種法人等登記規則第5条以外の規則において準用する場合は、該当規則を修正する。との記載があります。

  空欄にして通知しても良いとはどこにも記載されていません。商業登記等事務取扱手続準則第81条第1項では「登記官は、その職務上過料に処せられるべき者があることを知ったときは遅滞なく、別記第53号様式による通知書に登記事項証明書を添えて、その事件を管轄する地方裁判所に通知しなければならない。」と規定されています。

なぜH登記官はこの事務取扱手続準則を無視して、あえて記載の必要がない事項(法律第149条第1項)を記載し、記載が必要な「該当条項欄」は空白としたままの通知書を作成し裁判所に通知したのですか。

  裁判所に対する通知だから、ある意味身内なので手抜きも許される、ということなのですか。

  仮に私達国民が登記手続の申請、登記簿謄本等を交付申請するに当たって、必要事項の未記載は絶対に許されないし、必要事項以外のことを記載した場合は、抹線を引き訂正印を押印されることを窓口で強制されているのに、登記官は何のおとがめもないのですか。内部監察の対象になるのではないですか。

それとも相手が裁判所で平成26年から毎年通知しているから手抜きしても差し支えない(ある意味での顔パス)とでもいうのでしょうか。もっともこのような手抜きの通知を校正させずに受領する裁判所にも問題がありますが、いずれにしろ前任者踏襲主義、盲押印決済主義、事なかれ主義、悪しき官僚主義の最たる事案としか言いようがありません。

  ともあれ、「該当法条欄」が未記載と言うことは、法律第342条のどれに該当する不明ですので、法定要件を満たさない不法な通知書であったと認定されても仕方がないでしょう。

  過去にも同様の手抜きの通知をして過料処分を受けた方々に対して謝罪してはいただけませんでしょうか。

 

10.5の回答について。私の質問は、「商業登記規則第118条は「登記官は、過料に処せられるべき者があることを職務上知つたときは、遅滞なくその事件を管轄地方裁判所に通知しなければならない。」と規定しているだけで、休眠していない旨の「届出」をした者も過料の対象として通知するとの規定ではありません。「届出」をした者も通知の対象とする旨が第149条に記載されていないのです。何を根拠に「届出」をした者も通知の対象としたのか、明確に答えて下さい。」でした。

  これに対して、回答3と同じく「届出によって登記事項に変更が生じていることが明らかになったので、商業登記規則第118条、一般社団法人等登記規則第3条により通知した。」とありますがこれが回答となっているでしょうか。

  前述したとおり登記事項に変更があったかどうかは届出だけでは判明しないですし、登記事項に変更が生じていることが判明するのは、届出があって初めて分かったのでしょうか。法務局の立場(理屈)からすれば、理事の任期は法律第66条から2年で満期=任期終了となっていることになります。登記簿上就任2年を超えれば登記事項に変更があったものとしていつでも通知できるわけです。繰り返しますが休眠法人整理作業があってもなくても、届出があってもなくても、登記簿原簿をみれば役員の定年が把握でき通知できるはずです。但し、社員総会を開いて適正に選任しているのか、社員総会すら開催していないのかは登記事項記載事項からでは分かりません。

  繰り返します。第149条と通知は切り離して考えるべきです。何故なら法制定の趣旨法益が異なるからです。休眠法人整理作業と届出までは法律の求めるところですが、通知は休眠法人整理作業とは別の概念として、関連を持たせないで行うようにして下さい。

 

11.回答6について。例えば前問10のような提案が国民からなされたとき、部内で検討し必要があれば法務省本省に意見具申することはないのですか。私の質問はもし仮に上級庁が誤った指示をした場合は下級庁、現場はどう対応するのか、ということに関する考え方、方針を聞いているのです。それを仮定の質問には答えられない、というのは無責任です。

  私は労働基準監督官として30年以上労働基準行政で働いてきました。そこで労働基準法労働安全衛生法、労災認定等を現場で執行、適用するに当たって、当然ながら法令の解釈、適用、運用でたくさんの問題が生じるわけです。取りあえずは監督署内で協議し、不明や改善すべき点があれば労働局の担当の部署に相談し、必要があれば本省まで意見具申、疑義照会をしていました。本省ではその疑義照会について、基収○◯号として全国に通知するシステムがあります。それが民主的な国家行政運営だと思っています。

  でお尋ねしたいのは、法務行政にはそのような民主的なシステムはないのか、ということです。それを仮定の質問には回答しかねる、と木で鼻をくくった態度、回答は国民の目にはどう映るのでしょか。改めてシステムがどうなっているかについて回答ください。

 

12.回答7について。公開していないのは知っています。解散を命じられた件数を公開して、届出の件数をなぜ公開できないのか、その理由を聞いているのです。日本学術会議の6名の委員が推薦されなかったことについて、菅総理はその理由の説明を拒んでいます。さいたま地方法務局も開示できない理由すら言わないとしたら、やはり日本の自民党政府の下では、隠蔽体質だと国民に思われますよ。公開して何が問題なのかも明らかにできないのですか。せめて、さいたま地方法務局の分だけでも公開してください。

 

13.回答8について。「登記の懈怠であることが明かでない場合は、選任懈怠として通知している」との回答ですが、重要なことと思われますので、もう少し具体的に回答して下さい。

  前述したとおり登記懈怠とは法律第342条第1号です。つまり法定どおり理事が選任されていたが登記手続を2週間以内に行わなかったことが明らかでない、場合は選任懈怠つまり理事の選任行為すら行わなかったものととみなして通知している、との回答ですね。

  どうして理事が選任されているかも知れないのに、理事の欠員がつまり未選任だと決めつけるのですか。そのような見なし決定の権限が登記官にあるのですか。

  いずれも社員総会の議事録を確認しなければ選任の日付も未選任であるかどうかも分からないのです。分からないから法益の全く異なる罰条を適用するというのは、これほど国民を馬鹿にしている事はありません。

  これでは観念的競合か併合罪かの問題以前の話しです。

  繰り返しますが、登記懈怠かどうかは、社員総会の議事録をみなければ2週間経過かどうかは分かりません。選任懈怠かどうかも社員総会の議事録等をみて確認しなければ、社員総会を開催しているのかどうかは分かりません。通知に添付されている登記事項証明書だけでは、単に登記が5年以上なされていないことが分かるだけで、それが登記懈怠なのか選任懈怠なのかは分からないのです。だから私の場合は、裁判所が社員総会議事録の写しの提出を求め、登記懈怠か選任懈怠か、の判断材料にしたのです。

どうしても届出に社員総会の議事録写しを添付させたいなら法律第149条や法律施行規則第57条の改正が必要です。つまり現行法令では届出や登記事項証明書だけで、過料の通知を出せないと言うことを意味しています。

  日本国は法治国家です。Aが不明ならBで処罰を求めるというのは罪刑法定主義に反します。処罰をするためには登記の懈怠があるのか、選任懈怠の事実があるのか、明確に調べ、証拠を確定してから過料処分の行為があったと判断し通知すべきです。

  過料処分は3万円の少額で戸籍にも記載されないから、という安易な気持で証拠もなしに過料の通知を行うことは厳に慎んでいただきたい。

  

14.地方裁判所が登記事項証明書だけで過料の決定をしようとしたら、異議申立が行われ、結局「申立人は本件法人設立時に本件法人の理事及び代表理事に就任したが、その後、理事の任期満了前に、社員総会において同人について理事再任の手続が行われたことが認められ、本件の役員選任義務懈怠の事実は認められない。したがって、本件について、申立人を不処罰とするのが相当である。」という過料決定の取り消し処分が行われたのです。

  つまり、届出及び通知書添付の登記事項証明書だけでは、登記懈怠も選任懈怠も証明できないのです。繰り返しますが通知するのはそもそも休眠法人整理作業とは直接関係ないのです。したがって本年から通知は止めるべきです。

  行政改革規制緩和の時代に法が求める届出と休眠法人のみなし解散だけを行えばよいのに、国民イジメの証拠不十分なままの通知はやめていただきたい。

  以上のことから、法令にない届出と証拠不十分の思い込みによる通知作業を行ったことについて私だけでなく国民に対しても謝罪するとともに、過料処分を受けた方々全員に返金を求めます。

 

                 2020.10.23 白崎淳一郎のブログ