3万円支払え。過料の決定通知にビックリ

 

  3月5日(木)夕方、外出先から帰宅しました。玄関先の郵便箱に新聞の夕刊紙と一緒に普通郵便で、○○地方裁判所△△支部からの手紙が入っていました。さっそく中味を確認すると「過料決定」という書類が入っていました。寝耳に水の仕打ちです。

 2月26日付けで裁判官××の名前で3万円を支払えという重要な内容のものでした。しかも、本書面が到達してから1週間以内に書面で異議申立ができるとも記載しています。

 

 ここでまず問題なのは、このように重要な書面をなぜ配達証明とか書留にしなかったか、ということです。裁判所は2月26日(水)に決定しているのですが、私に配達されたのは3月5日です。同じ市内なのにどういう郵便事情か分かりませんが決定から1週間もかかって配達されています。しかも玄関先の誰でも抜き取ることが出来る郵便箱に入れてありました。ダイレクトメールや広告のチラシと同様に、廃棄されたり盗まれたりする可能性もあります。雨で濡れて毀損し読めなくなるおそれもあります。

 しかも書面が到達してから1週間以内と裁判所は言いますが、何時配達されたのか、本当に配達されたのか、裁判所はどうして分かるのでしょうか。日本の郵便事情は概ね健全だとは思われますが、普通郵便はパーフェクトではありません。未到達の期限の喪失というリスクをなぜ国民の側が負わなくてはならないのでしょうか。これは後述するように法務局も同じです。お上意識丸出しだと思います。

 

 次に、私はこの決定については1週間以内に「異議申立」をしようと考えています。理由は3つほどあるからです。

 

理由を述べる前に、過料とは何かの説明をします。

 ウィキペディアによると、「過料(かりょう)とは、日本において金銭を徴収する制裁の一つ。金銭罰ではあるが、罰金や科料と異なり、刑罰ではない。特に刑罰である科料と同じく「かりょう」と同音発音するので、同音異義語で混同しないよう、過料を「あやまちりょう」、科料を「とがりょう」と呼んで区別することがある。」刑罰でないので、刑事訴訟法や刑法総則は適用されず、非訴事件手続法が適用されます。しかし自己の財産に影響があるので過料とするにも法的には厳格な手続や法令の適用が必要になるのは当然です。次に、決定書の中味を紹介します。

 

過料の決定の内容

「主文:上記の者を過料金30,000円に処する。

    本件手続費用は、同人の負担とする。

 理由:上記の者は、上記法人の代表理事に就任していたところ、役員が退任し、法定の員数を欠くに至ったのに、令和元年12月10日までに選任手続を怠った。

 適条:一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第149条第1項、203条第1項、非訴事件手続法第120条、第122条」

 

異議申立の理由(私の言い分)

① 過料とするには過料の根拠条文である、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「法律」という。)第第342条の(過料に処すべき行為)に該当する行為でなければならないはずです。しかし同条には決定書の適条と記載されている、法律第149条第1項の記載はないのです。(第203条は一般財団法人なのでもともと関係ない。)
 
 私も長いこと労働基準監督官として、労働基準法違反、労働安全衛生法(以下「安衛法」という。)違反事件等で検察庁に送致手続をしてきましたが、その場合は例えば安衛法の罰則である第119条第1項第1号とまず記載し、次にその中で規定されている安衛法第20条。労働安全衛生規則第××条と罰則の適用する条項を順次指定しています。罰則に規定されていない条項で処罰することは出来ません。それが日本国憲法第31条、第39条の求める罪刑法定主義なのです。

  言い換えれば、過料の根拠規定に基づかない法律第149条第1項を適用して過料とするのは、罪刑法定主義に反し誤り、憲法違反である、と主張できます。

 

② 次に法律第149条第1項にはどのように規定しているのでしょうか。

法律の見出しは(休眠一般社団法人のみなし解散)とあります。

内容は、休眠一般社団法人は、法務大臣が当該法人に対し2箇月以内に法務省令で定めるところにより、所轄登記所に事業を廃止していない旨の届出をすべき旨を官報に公告した場合において、その届出をしないときは、その2箇月の期間満了の時に、解散したものとみなす。ただし、当該機関に登記がされた場合はこの限りではない、と規定しています。

  ようするに、事業を廃止していない場合は法務大臣が公告したときに、廃止していない旨の届出をしない場合は2箇月で解散したものとみなす、という単なる見なし規定なのです。みなすことができるのは法務大臣であるということを規定しているだけです。 

 言い換えれば私に登記の作為義務を負わせている規定ではないのです。もし届出をしなければ解散したものとみなすという不利益が生じますよ、といっているに過ぎません。従って、この条文の文面からは登記する義務を導き出せないといことになります。単に不利益があるから覚悟しろという間接強制の条文なのです。(他の条文には変更登記の義務を求めるような、それらしい事が規定されてるものもありますが、ここでは当面「適条」に限って問題にしています。)

 

③ 法律第149条第1項には規定されていないことを「理由」として述べている。

  条文の趣旨は前述したとおりですが、決定書の「理由」には法律第149条の条文には全く規定されていない、「役員が退任し、法定の員数を欠くに至ったのに、令和元年12月10日までに選任手続を怠った」と選任手続を求める文面となっています。これは法律の拡大解釈というか読み間違いです。

  しかも、私の一般社団法人は私1人が理事であり、死亡もしていなければ、海外に逃亡もしていません。勝手に退任したとか、員数を欠くと認定するのは同条文からは逸脱した読み方でありどうやっても文面上そのように読めません。単なる見なし規定から役員の退任、員数の不足の認定と選任手続を求めるのは、拡大解釈としか言いようがありません。

  さらに言えば、昨年9月か10月頃に、さいたま地方法務局から「休眠していませんか」という問い合わせの紹介が「普通郵便」で行われたと記憶していますが、「休眠していません」との返事を文書で回答しています。これは第149条にいう、「廃止していない旨の届け出」に該当すると考えられます。なぜなら法文上は「届け出」であって「登記」とはなっていないからです。しかも問い合わせには「12月10日までに選任手続=変更登記をするようにとの文言はなかったはずです。

  他人の権利や財産権に影響を及ぼすおそれのある文書は、普通郵便ではなく内容証明郵便等証拠が残る方法によるべきです。今や「オイ、コラ」のお上的な発想ではない民主主義、国民主権の国家であるということを肝に銘じるべきです。

 

  まだまだ反論することがありますが長くなるので、それは正式に「異議申立」を行ってからと思い今回のブログでは割愛します。

 

  異議申立がプロ中のプロの裁判官相手となります。一体どうなるか私にも分かりません。そもそもこの決定書が「公文書」の体をなしているのか、決定書に同封されている「過料決定についてのお知らせ」にも適用条文の誤りが認められますし、またなぜ2年で理事の任期が法定で定められているのか。その法益はなんなのかも含めて、多いに勉強していきたいと考えています。

  なお厚労省のホームページでは法令の解釈例規(通達)が簡単に閲覧できるのですが、法務省のホームページではどうやっても解釈例規が検索できません。法令の解釈を検索する方法があれば、教えていただけると、大変助かります。誰かお願いします。

 

  異議申立の顛末はまた後日報告します。

 

2020年3月8日  白﨑淳一郎のblog